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2024年12月16日

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売上DIが-6.3に低下、2024年11月の中小企業景況調査で判明した景気減速の実態

中小企業景況調査(2024年11月調査)(日本公庫)

2024年11月、日本政策金融公庫総合研究所による最新の中小企業景況調査が発表されました。この調査では、三大都市圏の取引先900社を対象に、売上、利益、価格、雇用、生産設備、資金繰りなどの指標を分析しました。結果からは、日本経済の現状と中小企業の課題が浮き彫りになっています。

11月の売上DI(「増加」から「減少」を引いた割合)は、10月に比べマイナス幅が4.5ポイント拡大し、-6.3という結果となりました。この売上DIは企業の景況感を示す指標で、減少傾向が見られる場合は需要の停滞や経済の減速を意味します。さらに、今後3カ月の売上見通しDIも前月より8.1ポイント低下し、-7.0とネガティブな見通しが示されました。これらの数字から、景気減速が中小企業の売上に直接的な影響を及ぼしていることがわかります。

利益面では、11月の利益額DIが前月比で3.3ポイント低下し、-1.7となりました。黒字企業と赤字企業の割合差も5.4ポイント低下し、23.7%と大きく減少しました。このことは、売上の減少に加えてコスト増加や利益率低下が中小企業の経営を圧迫していることを示しています。黒字割合の減少は特に経営の安定性を揺るがす要因となり得るため、迅速な対応が必要とされます。

一方で、販売価格DIは0.5ポイント上昇し10.8、仕入価格DIは5.0ポイント上昇して26.0といずれも増加しました。これは、企業がコスト上昇を販売価格に転嫁しつつある一方で、仕入価格の増加がより顕著であることを意味します。コストプッシュ型のインフレが進む中、企業が価格転嫁を続けられるかどうかが経営の鍵となりそうです。

雇用や生産設備の判断については、従業員判断DIが4.8ポイント低下し6.5、生産設備判断DIが0.7ポイント縮小して-5.5となりました。従業員不足が継続している一方で、生産設備の過剰感が依然として問題となっています。これらのデータは、労働力不足と投資の需給バランスが経営効率に影響を与えていることを示唆しています。

資金繰りや金融機関の貸出態度についても注目すべき動きが見られます。資金繰りDIは2.8ポイント低下して3.5、金融機関貸出態度DIは5.9ポイント低下し24.3となりました。これは、企業が資金繰りに窮する傾向が強まっていると同時に、金融機関の貸出態度が厳しくなっていることを反映しています。資金繰りに関する課題は、特に中小企業の成長や存続にとって大きな障害となり得るため、これに対応するための支援策が急務です。

全体的に見ると、この調査結果は中小企業が抱える複数の課題を浮き彫りにしています。売上や利益の低下、コスト増加、資金繰りの悪化などが企業活動を制約しており、景気回復にはこれらの課題に対する包括的な政策対応が必要です。政府や金融機関、そして企業自らが協力し、持続可能な経済成長を目指す必要があります。

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ

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