2024年3月9日
労務・人事ニュース
変わる若者の職業選択、好まれる産業と転職の背景
若者の転職動向 ―「雇用動向調査(平成26年~令和元年)」二次分析―(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
若者たちの転職の傾向に焦点を当てたこの調査は、彼らのキャリアパスがどのように形成されているか、そしてそれがどのように変化しているかを深く掘り下げています。この研究は、社会が工業化からサービス中心の経済へと移行する中で、若い労働者たちが直面するキャリア形成の課題と機会を理解することを目的としています。
この分析は、平成26年から令和元年にかけての上半期と下半期に実施された厚生労働省の雇用動向調査に基づいています。調査は、全国のさまざまな産業に属する常用労働者5人以上を雇う企業と、その期間中に新たに入職した29歳以下の高校卒以上の入職者を対象に行われました。これらのデータは、詳細な分析を可能にするために集約され、さらに解析されました。
この調査からは、特に「従来型製造業」「ビジネスサービス」「社会サービスの大企業や公営事業所」といった産業が、若者にとって良好なキャリア形成の場として浮かび上がりました。また、正社員から正社員への転職が多数を占める一方で、非正規雇用から正社員への移行も一定の割合を示しています。
特に、女性が「ビジネスサービス」内の特定の業種に、男性が「社会サービス」の分野に転職する傾向が見られました。また、学歴によって転職先の産業が異なることも明らかになり、特に非正規雇用からの転職者において顕著でした。
さらに、この研究では、特定の産業からの転職が、賃金の向上や専門技術職への移行といったキャリアアップにつながる可能性があることを示唆しています。例えば、「消費者サービス」から「社会保険・社会福祉・介護」への転職は、多くの場合で技術職への移行や収入の増加を実現しています。
この調査は、若年労働者のキャリア形成を支援し、企業がより良い雇用管理を行うための政策立案に貢献することを目的としています。若者たちが直面するキャリア形成の機会と課題を理解することは、国民の将来の職業生活にとって重要な意味を持ちます。