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2024年9月26日

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外国人労働者雇用管理講習で企業の生産性アップ!全国22地域で計420回実施

外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第11回)会議資料 【資料6】雇用労務責任者講習モデル事業について(厚労省)

外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業について詳述すると、まずその背景には、国内で外国人労働者の数が増加している現状があります。2023年10月時点での統計によると、日本で働く外国人労働者は約204.9万人に上り、これを雇用している事業所の数も約31.9万所に達しています。これまでにない規模での外国人労働者受け入れが進む中で、適切な雇用管理やコミュニケーションの課題が浮き彫りになってきました。特に、採用手続きや労務管理の面での不安を抱える企業も多く、外国人労働者が安定して働ける環境整備が急務となっています。

このような背景のもと、外国人労働者雇用労務責任者を対象とした講習が試行的に実施されています。この講習は、全国22地域で行われ、外国人労働者を雇用する企業や事業主に対し、雇用管理全般に関する知識とノウハウを提供することを目的としています。特に外国人特有の雇用管理上の課題や、文化や言語の違いによるコミュニケーションの問題に焦点を当てた内容が組み込まれています。加えて、労働力移動の動向や送出し国の課題も調査され、必要に応じてカリキュラムに反映されています。

この講習モデル事業の主な目標は、外国人労働者がその能力を最大限に発揮できる職場環境を整備し、企業が抱える採用や雇用管理の課題を解決することにあります。企業にとっては、外国人労働者の定着やパフォーマンス向上を図るためには、単に雇用するだけでなく、適切なサポート体制を構築することが必要です。そのため、この講習では、在留管理制度の理解、労働法規に関する知識、さらには異文化理解に基づくコミュニケーション方法などが包括的にカバーされています。

具体的には、2023年から2025年にかけて、この事業は3年間にわたり実施されます。初年度の予算は約2億3千万円が計上されており、年ごとに分配された予算で全国規模の講習が行われます。特に注目すべきは、この講習が、雇用労務管理に必要な最低限の知識と能力を持つ責任者を育成することを目指している点です。講習は半日程度の時間で、企業側に負担をかけない形で実施されるよう工夫されています。

この講習では、外国人労働者を10人以上雇用する場合、指針に従い人事課長などを雇用労務責任者に任命することが求められていますが、10人未満の事業所も対象とされています。このような責任者を選任し、適切な労務管理を行うことで、外国人労働者の職場定着や企業の生産性向上が期待されています。

具体的なカリキュラムには、以下の内容が含まれます。まず「適正な外国人労働者雇用労務管理の必要性」について導入が行われ、次に「外国人雇用のルール」として、在留管理制度の知識や手続き、外国人雇用状況の届出に関する説明がなされます。続いて「外国人労働者の雇用労務管理」では、労働関係法令や社会保険法令についての知識が提供され、外国人労働者特有の事情に配慮した対応方法が解説されます。さらに「異文化理解とコミュニケーション配慮」では、職場でのミスコミュニケーションの具体例や、異文化におけるコミュニケーションの注意点が取り上げられ、働きやすい職場環境を作るためのポイントが紹介されます。

講習は、2024年3月から東京や大阪を皮切りに始まり、2025年12月までに全国22都道府県での対面形式での実施が予定されています。さらに、オンライン形式でも講習が提供され、全国どこからでも参加が可能です。計420回の講習が予定されており、外国人労働者を雇用する企業や事業所の多くが参加することが期待されています。

外国人労働者が増加している現状において、適切な雇用労務管理は企業の競争力強化にも繋がる重要な要素です。この講習を通じて、外国人労働者の定着率向上や職場環境の改善が期待される一方で、企業側には外国人労働者の多様性を理解し、受け入れる姿勢が求められています。最終的には、外国人労働者が安心して働ける環境を整備することが、企業の持続的な成長にも寄与することになるでしょう。

このように、外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業は、日本国内の労働力不足を補い、さらに多様な人材が活躍できる社会の実現に向けた重要な取り組みです。企業がこの講習を活用し、適切な雇用管理を実践することによって、外国人労働者がより円滑に日本の労働市場に定着できる環境が整っていくことが期待されます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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