2025年3月9日
労務・人事ニュース
外国人雇用企業の75.6%が生活支援を実施!日本企業の最新外国人採用実態
外国人を雇用していると回答した中小企業・農林水産業者の30.7%が外国人の採用に「満足している」~「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」結果の概要(日本公庫)
近年、日本の中小企業や農林水産業における外国人雇用の実態が注目されており、日本政策金融公庫総合研究所が実施した最新の調査によると、派遣社員を含む外国人従業員を雇用している企業の割合は17.9%に達していることが明らかになった。調査対象は日本政策金融公庫の融資先のうち、2019年以前に創業した法人16,000社であり、そのうち3,948社から回答を得た。
調査によると、外国人従業員の生活を支援する取り組みを実施している企業の割合は75.6%にのぼり、具体的には社宅や寮の提供(55.8%)、家具や家電の貸与・譲渡(52.3%)などが挙げられた。これは、外国人従業員が生活基盤を整えやすい環境を提供することで、長期的な雇用安定につなげようとする企業の姿勢を反映している。
また、外国人採用の満足度についての質問では、「満足している」と回答した企業が30.7%、「やや満足している」と答えた企業が36.5%となり、合わせて67.2%の企業が一定の満足感を抱いていることが示された。一方で「どちらともいえない」との回答は25.8%、「やや不満」は6.0%、「不満」は1.0%と、課題を感じている企業も一定数存在することが分かった。
外国人雇用の課題に関しては、全体の76.0%の企業が何らかの困難を抱えていると回答した。具体的には、言語の壁、文化の違い、労働慣行の相違、行政手続きの複雑さなどが主な要因として挙げられる。こうした課題に対応するため、企業側では外国人従業員向けの日本語研修の実施や、社内の異文化理解促進プログラムの導入が求められている。
さらに、従業員の生産性の変化についての調査結果では、外国人雇用企業の41.1%が「5年前と比べて生産性が向上した」と回答しており、これは全体平均の32.0%を上回る結果となった。一方で、「変わらない」との回答が51.2%、「低下した」との回答は16.9%であり、外国人雇用による生産性向上の効果が一定程度認識されていることが分かる。
この調査結果から、中小企業や農林水産業者が外国人雇用を積極的に進めている背景には、労働力不足の深刻化があると考えられる。特に地方の中小企業では、日本人の若年層の労働者が不足する中で、外国人労働者の採用が不可欠な状況となっている。しかし、外国人雇用の拡大に伴い、労働環境の整備や異文化対応、行政手続きの円滑化といった支援策の充実が急務となっている。
政府や自治体、企業団体が連携して外国人労働者の受け入れ環境を整えることで、より円滑な雇用管理が可能となる。特に、外国人従業員が安心して働けるよう、住居や生活支援、職場内での相談窓口の設置など、多角的なサポートが求められる。また、企業が外国人雇用に前向きに取り組むためには、外国人労働者の日本語能力向上や、職場内での適応を支援する施策が重要となる。
今後、日本の中小企業や農林水産業の持続的な発展のためには、多様な人材の活用が不可欠である。外国人雇用の拡大に伴い、企業側が積極的に受け入れ体制を整えるとともに、外国人労働者のキャリア形成や生活基盤の安定を支援する施策が一層求められる。政府や関係機関の協力のもと、制度改革や支援策の強化が進むことで、日本全体の経済活性化にもつながると考えられる。
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ