2024年9月30日
労務・人事ニュース
夜間の交通事故死者数が60%を占める、企業が取り組むべき対策
交通事故統計月報(令和6年8月末)(警察庁)
令和6年8月末時点で、警察庁交通局が発表した交通事故に関する統計データが公開されました。統計によると、交通事故の発生件数は前年同期比で減少していますが、依然として交通安全への取り組みが必要とされています。令和6年8月末時点での交通事故件数は23,156件であり、これは前年同期比で2,294件、つまり約9.0%の減少を示しています。この結果から、交通安全施策が一定の効果を上げていることがわかりますが、依然として1日平均約747件の事故が発生していることも明らかです。
さらに、交通事故に伴う死者数についても注目すべきデータが示されています。8月末時点での死者数は246人で、前年同期に比べて6人、2.5%の増加となっています。負傷者数は28,134人で、前年同期比で約9.3%、2,892人の減少を記録しています。負傷者数の減少は交通安全施策の成果の一つといえますが、死者数の増加は新たな課題として注視されるべきです。
また、65歳以上の高齢者が占める交通事故死者数の割合は引き続き高く、交通安全対策において特に重要なポイントとなっています。高齢者の交通事故死者数は924人で、前年同期比で45人、5.1%の増加となっており、総死者数に占める割合は約55.8%を占めています。この数字からも、高齢者向けの交通安全対策の強化が急務であることが伺えます。
年齢層別に見ると、15歳から19歳の若年層の交通事故死者数は49人で、前年同期比で6.5%増加しています。一方で、20歳から24歳の死者数は前年同期比で28.6%減少し、65人となっています。こうしたデータは、交通安全教育や運転免許取得後の教育プログラムの改善が特に若年層において効果を上げていることを示唆しています。
次に、シートベルトの着用状況と死者数の関係についても重要なデータが得られています。シートベルトを着用していた死者数は337人で、前年同期比で21人、6.6%増加しています。一方で、シートベルトを着用していなかった死者数は199人で、前年同期比で20人、9.1%の減少となっています。これにより、シートベルトの着用が依然として命を守るための重要な要素であることが強調されます。
さらに、昼夜別の死亡事故発生状況も注目に値します。夜間の死亡事故発生率は依然として高く、総死者数の約60%が夜間に発生しています。このことから、夜間の交通安全対策の強化が求められています。特に、歩行者や自転車利用者に対する注意喚起が必要です。
企業の採用担当者や人事部門が交通事故データに関心を寄せる理由として、従業員の安全管理や福利厚生の一環としての安全運転教育が挙げられます。特に、運転を伴う業務を持つ企業においては、交通事故のリスク管理が経営課題として浮上しています。こうしたデータは、企業が従業員の交通安全に対する取り組みを強化するための重要な指針となるでしょう。企業は、このデータを活用し、従業員に対する安全運転教育を強化することで、事故リスクを低減させ、労働災害の防止にもつなげることができます。
また、交通事故に関わる法令違反別のデータも示されています。法令違反が原因となった死亡事故の多くは、速度超過や飲酒運転が関与しています。特に飲酒運転による死亡事故は全体の約13%を占めており、企業が従業員に対して飲酒運転の禁止を徹底させることが重要です。さらに、速度超過による死亡事故も全体の約30%を占めており、業務で運転を行う従業員に対して速度遵守を徹底させることが求められます。
このように、企業が従業員の安全を守るために行うべき取り組みは多岐にわたりますが、具体的な施策としては、定期的な安全運転教育の実施や、交通安全に関する啓発活動が挙げられます。特に、高齢者ドライバーが多い業界や、長時間運転が求められる職種においては、交通事故防止策を徹底することが重要です。企業が積極的にこうした取り組みを進めることで、従業員の安全を確保し、労働災害のリスクを低減させることが期待されます。
⇒ 詳しくは警察庁のWEBサイトへ