2025年2月14日
労務・人事ニュース
夜間中学の生徒数が1.3倍に増加!企業が注目すべき学び直し人材とは?(令和6年度夜間中学等に関する実態調査)
「令和6年度夜間中学等に関する実態調査」結果の公表について(文科省)
令和6年度に実施された夜間中学等に関する実態調査によると、全国の夜間中学に通う生徒の数は1,969人に達し、前回調査時の1,558人から約1.3倍に増加したことが明らかになった。特に39歳以下の若年層においては、生徒数の伸びが顕著で、約1.4倍の増加が見られた。この傾向は、夜間中学が学び直しの場として広く認知され、より多くの人々に利用されるようになったことを示している。
調査の結果、日本国籍を有する生徒の数は519人から713人へと増加し、約1.4倍の伸びを示した。一方、日本国籍を有しない生徒も1,039人から1,256人へと増加し、約1.2倍の成長が確認された。このデータから、日本国籍を持つ生徒だけでなく、外国籍の生徒にも夜間中学が必要な教育機会を提供していることが分かる。特に、日本国籍を有する生徒の属性別に見ると、入学希望既卒者の割合が69.6%から78.4%へと増加しており、学校教育を受けられなかった人々が改めて学び直しを求めている実態が浮かび上がった。
調査は全国の都道府県(47)および指定都市教育委員会(20)を対象に実施されたほか、夜間中学を設置している県・市区教育委員会(47)や、実際に運営されている夜間中学(53)についても詳細なデータが収集された。主な調査項目としては、教育機会確保法に基づく施策の実施状況、自主夜間中学や識字講座の支援状況、特別支援学校における義務教育未修了者の受け入れ状況、夜間中学の設置形態、入学要件、教職員数、生徒の国籍・年齢・属性別データなどが含まれている。
夜間中学は、義務教育を修了できなかった人々にとって、学び直しの機会を提供する重要な教育機関として機能している。特に近年では、若年層を中心に夜間中学への関心が高まっており、その背景には、教育機会を確保するための法整備や支援体制の強化があると考えられる。また、外国籍の生徒の増加も顕著であり、夜間中学が多文化共生の場としても機能していることが示されている。
日本国内では、識字教育の充実や教育機会の確保を目的とした支援が拡大しており、夜間中学の役割がますます重要視されている。特に、教育機会確保法第14条に基づく施策の実施により、各自治体が積極的に夜間中学への支援を進めていることが分かる。今後、さらなる支援の充実が求められる中で、夜間中学の運営体制やカリキュラムの拡充も検討されるべき課題となっている。
企業の採用担当者にとっても、このような学び直しの場の拡充は重要な意味を持つ。夜間中学を修了した人材は、社会人経験を経たうえで再び学びに挑戦する意欲を持つケースが多く、基礎学力の向上のみならず、自己成長への意識が高い傾向がある。さらに、外国籍の生徒も増加していることから、企業にとっては多文化共生の視点を持つ人材を確保する機会にもつながる。特に、日本語能力が向上した外国籍の人材は、企業のグローバル化を推進するうえで貴重な戦力となる可能性がある。
このように、夜間中学の発展は社会全体に多様な影響を与えており、教育機関や行政だけでなく、企業や地域社会全体が関心を持つべきテーマとなっている。今後も夜間中学への支援を強化し、学び直しの環境をさらに充実させることが求められるだろう。
⇒ 詳しくは文部科学省のWEBサイトへ