2024年10月8日
労務・人事ニュース
大分県 令和6年8月の有効求人倍率は1.35倍、正社員求人倍率も1.24倍を維持
大分県の雇用情勢(令和6年8月分)(大分労働局)
令和6年8月の労働市場データによると、有効求人倍率は前月比で0.04ポイント上昇し、1.35倍となりました。これにより、2か月連続での上昇を記録しています。この指標は、労働市場における需給バランスを示しており、求人数と求職者数の比率が1.0を超える場合、求人が求職を上回っていることを意味します。具体的には、有効求人数が23,459人と前月比で0.7%増加した一方、有効求職者数が17,375人と前月比で2.4%減少したため、このような上昇が見られました。
正社員有効求人倍率についても、1.24倍と高水準を維持していますが、前年同月比では0.01ポイント低下しています。この結果は、38か月連続で1.0倍台を維持しており、依然として企業による正社員の募集が活発であることを示唆しています。
また、就業地別の有効求人倍率も前月比で0.06ポイント上昇し、1.56倍に達しました。就業地別の有効求人数は27,070人で、前月比1.5%の増加を見せました。一方で、新規求人数は前年同月比で10.3%減少しており、特に情報通信業や運輸業、郵便業での大幅な減少が見られます。具体的には、情報通信業が45.2%、運輸業・郵便業が31.8%減少しています。これらの産業における求人数の減少は、コロナ禍の影響が続く中での需要変動や産業構造の変化が一因と考えられます。
求職者側の動向として、新規求職申込件数は3,163人と前年同月比で17.7%の減少を記録しました。特に常用フルタイムの新規求職者数は1,989人と17.8%減少しており、離職者の数も前年同月比で19.6%減少しています。離職理由を詳細に見ると、事業主都合による離職者が30.2%減少し、自己都合による離職者も16.4%減少しています。これらの数値から、現在の労働市場では、雇用の安定が進んでいることが伺えます。
大分労働局によると、ハローワーク別の有効求人倍率では、大分所が1.61倍で最も高く、別府所が1.03倍で最低となっています。全体としては、求人倍率は高水準を維持していますが、求人の動きには一部の業種で足踏み感が見られるため、物価上昇や経済状況が雇用に与える影響について注意が必要であるとされています。
さらに、雇用保険の受給者については、5,027人と前年同月比で9.2%減少しており、受給者数の減少傾向が続いています。これもまた、労働市場における安定感が強まりつつあることを示す一因と考えられます。
こうしたデータから総じて言えることは、求人倍率が上昇し、特に正社員の求人が安定している一方で、新規求人数の減少や一部産業での求人減が見られる点には注意が必要です。企業側では、今後の経済状況や物価の動向を注視しつつ、安定した雇用環境を維持するための施策を講じることが求められます。
一方で、求職者数の減少や雇用保険受給者数の減少は、雇用が安定していることを反映しており、求職者側にとっても安定した雇用環境が広がっていることがわかります。しかしながら、業種によっては求人の減少が顕著であり、特に情報通信業や運輸業、製造業などでは厳しい状況が続いているため、業界ごとの対応策が求められています。
企業にとって、今後の採用活動を成功させるためには、これらの市場動向を把握し、労働市場の変化に対応した柔軟な採用戦略を構築することが重要です。特に、求職者のニーズに応える形での労働条件や職場環境の改善、柔軟な働き方の提供などが、企業の競争力を高める一因となるでしょう。
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