2025年1月9日
労務・人事ニュース
大阪府 障害者雇用が21年連続最高記録 実雇用率2.44%に上昇も課題残る(令和6年6月1日時点)
令和6年 障害者雇用状況の集計結果(大阪労働局)
令和6年6月1日時点での民間企業および公的機関における障害者雇用の現状について、大阪労働局が発表した調査結果は、雇用状況の改善と課題が浮き彫りになっています。この調査は、障害者雇用の現状を明らかにし、雇用促進に向けた施策を検討するための貴重なデータを提供しています。
民間企業における障害者の雇用数は、前年より6.4%増加して62,038人となり、21年連続で過去最高を記録しました。この増加は、身体障害者、知的障害者、精神障害者のすべてのカテゴリーで見られ、特に精神障害者の雇用が18.6%増と顕著な伸びを示しています。一方で、実雇用率は2.44%で、法定雇用率2.5%にわずかに届いていません。また、法定雇用率を達成している企業の割合は41.7%と、前年の46.1%から減少しています。これは、特に中小企業における達成率の低下が要因と考えられます。
企業規模別に見ると、雇用状況の差が明確です。1,000人以上の大規模企業では実雇用率が2.66%と法定雇用率を上回っていますが、40~100人未満の小規模企業では1.97%にとどまり、大きなギャップが存在します。このような傾向は、障害者を雇用するための支援体制や職場環境の整備が不十分である中小企業が多いことに起因していると考えられます。
産業別では、「医療・福祉」分野が3.89%と最も高い実雇用率を示し、法定雇用率を大きく上回っています。一方、「情報通信業」や「不動産業、物品賃貸業」では2%未満と低迷しており、産業ごとの差異が明らかです。
公的機関においても、障害者雇用の進展が見られます。大阪府や市町村の機関では、在職する障害者の数が前年比4.0%増の2,116.5人となり、実雇用率は2.92%に達しました。しかし、法定雇用率2.8%に達していない機関も存在し、大阪市教育委員会や堺市教育委員会などが課題として挙げられています。
特例子会社に関しては、障害者雇用に特別な配慮を行う企業として72社が認定され、雇用者数が前年比7.9%増の5,058人に達しました。この取り組みは、親会社における障害者雇用率向上の一助となっています。
障害者雇用の促進には、企業規模や産業特性に応じた柔軟な支援策が求められています。特に中小企業における障害者雇用のハードルを下げるため、助成金制度の拡充や専門家によるサポートが必要です。また、精神障害者を含む多様な障害者のニーズに対応した職場環境の整備が不可欠です。
このような現状を受け、各企業や公的機関は、自らの役割を見直し、障害者が働きやすい環境を構築する努力を継続することが重要です。障害者雇用は、単なる法令遵守の問題にとどまらず、多様性を受け入れる組織づくりの一環として、社会全体の発展にも寄与するものです。
⇒ 詳しくは大阪労働局のWEBサイトへ