2024年11月13日
労務・人事ニュース
奈良県の有効求人倍率1.15倍に上昇、製造業での人材確保が急務
奈良県の一般職業紹介状況(令和6年9月分)について(奈良労働局)
奈良県の雇用情勢に関するデータをもとに、2024年9月時点での詳細な状況を説明します。奈良県の有効求人倍率は、全体的に安定した推移を見せていますが、業種ごとに異なる変動が見られました。奈良県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍で、前月を0.01ポイント上回る結果となりました。全国平均と比較すると、奈良県はやや安定している傾向が見られ、近畿地方内でも上位の水準を維持しています。
奈良県における新規求人倍率は1.87倍となり、前月より0.14ポイント低下しましたが、それでも高い水準を保っています。特に医療、福祉分野における新規求人は依然として多く、2023年同月比で約10.1%減少したものの、2,372件の新規求人が出されています。この分野は高齢化が進む日本において、引き続き需要が高い業種です。一方、宿泊業や飲食サービス業に関しては、前年同月比で16.9%減少しており、観光業の回復が思わしくない状況が続いています。
建設業も減少傾向にあり、前年同月比で15.2%減となっています。この減少は全国的な建設業の労働力不足や、材料費の高騰が影響している可能性があります。奈良県内での主要な産業である製造業では、新規求人数が2.0%増加し、860件の求人がありました。特にプラスチック製品製造業では、前年同月比で84.1%という大幅な増加が見られ、他の製造業と比較しても顕著な伸びを示しています。
運輸業や郵便業も前年同月比で17.1%の増加が見られ、445件の新規求人が出ています。この増加は、物流業界全体での需要拡大が背景にあり、特に奈良県内での運送業の活発化が反映されています。卸売業や小売業も前年比5.9%の増加があり、宿泊業や飲食サービス業とは対照的に、人手不足の問題が引き続き発生しています。
奈良県の雇用環境全体を考慮すると、正社員の有効求人倍率は0.94倍で、前年同月比で0.03ポイント上昇しています。正社員求人の割合は44.0%で、前年とほぼ同水準です。これにより、パートタイムや契約社員と比較しても、正社員雇用の安定性が一定程度確保されていることがわかります。
奈良県内の新規求職者数は、3,858人で、前月と比較して1.1%減少しました。これは、就職希望者が減少していることを示しており、特に離職者においては自己都合による離職が前年同月比で4.0%減少しました。また、事業主都合の離職者は431人で、前年同月比0.2%の減少となっています。これにより、雇用主側での労働条件が徐々に改善している可能性が示唆されます。
さらに、業種別に見た新規求人倍率では、情報通信業が前年比48.9%減少しており、奈良県内でのIT関連の求人は停滞している状況が浮き彫りになっています。一方で、学術研究や専門技術サービス業は51.3%の増加を見せており、242件の新規求人が出されています。この分野は、高度なスキルを持った専門家の需要が高まっていることを反映しています。
新規求人倍率の推移を見ると、全体としてやや減少傾向にあるものの、業種ごとに異なる動きが見られます。特に製造業や運輸業、学術研究分野などでは、新規求人の増加が顕著です。これに対し、宿泊業や飲食サービス業、建設業といった分野では、コロナ禍の影響や経済環境の変動によって求人が減少していることがわかります。
企業の採用担当者にとって、このデータは奈良県内での雇用市場の動向を把握し、どの分野での人材確保が課題となっているかを理解するために非常に重要です。特に、労働力不足が顕著な業種では、積極的な採用活動が求められています。また、正社員求人が安定していることから、長期的な雇用を見据えた人材確保も視野に入れる必要があるでしょう。奈良県の雇用情勢は安定している部分が多いものの、特定の業種では厳しい状況が続いているため、業界ごとの戦略的な対応が求められます。
これを踏まえ、企業が今後の採用計画を立てる際には、奈良県の雇用市場における需要と供給のバランスを理解し、どの分野での求人活動を強化すべきかを見極めることが重要です。
参考:奈良県の求人広告・人材派遣をお探しなら「人材ニュース株式会社」 | 奈良をアイシテ45年。求人採用は「やっぱり人です」
⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ