2025年1月9日
労務・人事ニュース
奈良県の障害者雇用率、全国2位を維持!実雇用率3.00%(令和6年6月1日時点)
令和 6 年 奈良県の障害者雇用状況の集計結果(奈良労働局)
奈良県では、令和6年6月1日時点における障害者雇用の状況が報告されました。この報告は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき実施されており、毎年の雇用義務対象となる事業主からのデータを集計したものです。今年度の結果では、民間企業、公的機関、特殊法人など各セクターにおける雇用率や障害者数が明らかになり、雇用の達成状況や課題が浮き彫りになりました。
民間企業における障害者雇用状況では、750社の企業が報告対象となり、雇用されている障害者数は前年より24.5人増加して3,036.5人に達しました。しかし、実雇用率は前年の3.06%から0.06ポイント減少し3.00%となりました。この実雇用率は全国平均の2.41%を上回り、奈良県は全国第2位を維持しています。一方で、法定雇用率を達成した企業の割合は60.5%で、前年より4.7ポイント減少しました。法定雇用率を満たす企業数が454社で前年より6社減少したことから、障害者雇用の取り組みが減速している可能性も指摘されています。
特筆すべきは、企業規模別の状況です。40人以上の企業を対象にした本報告では、雇用率が規模により大きく異なることが確認されました。例えば、100~300人未満の企業では実雇用率が3.41%であるのに対し、1,000人以上の企業では2.42%に留まるなど、大企業ほど雇用率が低下する傾向が見られます。これは、大規模企業での採用プロセスや環境整備に課題が残ることを示している可能性があります。
産業別では、医療・福祉分野が4.48%と最も高く、法定雇用率を大きく上回りました。一方で、建設業(1.02%)、電気・ガス・熱供給・水道業(0.81%)など一部の業種では法定雇用率を大きく下回っており、業種ごとの取り組みの差が浮き彫りになりました。
公的機関や地方公共団体における雇用状況も注目に値します。県及び市町村などの地方公共団体では、雇用されている障害者数が19人増加し525人となり、実雇用率は2.72%で前年より0.08ポイント上昇しました。特に教育委員会では、雇用障害者数が176人と前年より10人増加し、実雇用率が2.02%から2.11%に上昇しました。
特殊法人における雇用状況では、5つの法人が報告対象となり、実雇用率は前年より0.37ポイント上昇して3.01%に達しました。これらの法人は全て法定雇用率を達成しており、率先して雇用促進に取り組む姿勢が伺えます。
障害者雇用率の推移をみると、奈良県の民間企業における実雇用率は平成18年以降、常に全国平均を上回り、法定雇用率を維持してきました。これには、奈良県の継続的な政策支援や啓発活動が大きく寄与していると考えられます。しかし、法定雇用率の達成割合が減少している現状は、企業や組織が抱える採用の壁や職場環境の整備不足を如実に反映しています。
このような背景を受け、今後は企業や公的機関が障害者雇用を一層推進するために、個別のサポート体制を強化し、成功事例の共有を進める必要があります。特に大規模企業においては、採用プロセスの改善やインクルーシブな職場環境の構築が求められます。また、中小企業においても、法定雇用率の達成に向けた支援プログラムの拡充が鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ