2025年1月9日
労務・人事ニュース
奈良県内1,623社中62.9%が採用した継続雇用制度、65歳までの雇用確保措置の最新動向(令和6年6月1日時点)
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します(奈良労働局)
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」によると、奈良労働局が取りまとめたデータでは、高年齢者が働き続けられる環境整備のための企業の取り組みが進展していることが示されました。本報告は、奈良県内の従業員21人以上の企業1,623社を対象に、65歳までの雇用確保措置と70歳までの就業確保措置の実施状況を詳細に分析しています。
65歳までの高年齢者雇用確保措置では、対象企業のすべてが何らかの措置を実施しており、特に「継続雇用制度」の導入が62.9%と最も多く、次いで「定年の引上げ」が33.3%、「定年制の廃止」が3.8%となっています。この継続雇用制度は、希望者全員が対象となるものが主流で、全体の89.6%を占めている一方、経過措置による基準適用を限定する制度も10.4%存在します。
70歳までの高年齢者就業確保措置に関しては、599社(全体の36.9%)が実施済みと報告しています。この中では、「継続雇用制度」の導入が最多で30.6%、「定年制の廃止」が3.8%、「定年の引上げ」が2.5%となり、雇用以外の措置、例えば「業務委託契約の導入」や「社会貢献事業に従事できる制度」の採用は非常に少数にとどまっています。
また、企業の規模別に見ると、中小企業(21~300人規模)の37.7%が70歳までの措置を実施している一方、大企業(301人以上規模)では21.3%にとどまっています。これは、規模が大きくなるほど多様な取り組みが難しくなる傾向を反映していると考えられます。
さらに、定年制に関する状況では、65歳以上を定年としている企業(定年制の廃止を含む)は602社で、全体の37.1%を占めています。このうち、65歳を定年とする企業が最も多く29.6%、70歳以上の定年を設ける企業はわずか2.5%です。こうした傾向は、高齢者が長期的に職場で活躍する環境整備が依然として進行中であることを示しています。
奈良労働局は、これらの措置を未実施の企業に対して、ハローワークや県内の関連機関と連携し、計画的かつ重点的な指導を行うとしています。これにより、生涯現役社会の実現を目指す取り組みがさらに強化されることが期待されています。
高齢者の雇用を取り巻く環境は、今後ますます重要性を増すと見込まれています。企業にとっては、経験豊富な人材を活用するための柔軟な雇用制度の構築が鍵となるでしょう。この報告は、高年齢者雇用の現状と課題を具体的なデータとともに示しており、今後の政策形成や企業の取り組みにとって貴重な資料となると考えられます。
⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ