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2024年5月28日

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女性活躍推進法がもたらす企業のメリットと実施方法を徹底解説

女性活躍推進法とは(女性活躍推進法に関する解説動画①)(厚労省)

【以下動画の内容】

女性活躍推進法は、女性がその個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために定められた法律です。この法律の導入により、企業にはさまざまなメリットがもたらされます。特に、採用や育成にコストをかけた女性社員がその能力を高めながら継続的に働ける環境を整えることで、人材の確保や定着、社員のモチベーション向上など、多くの利点があります。

女性活躍推進法に基づいて事業主が行うべき取り組みについて説明します。まず、一般事業主行動計画の策定には、次のようなステップがあります。最初に、自社の女性活躍の状況を把握し、課題を分析します。これには、技術職の女性が少ない、課長級以上の女性が少ないなどの具体的な状況を確認することが含まれます。次に、一般事業主行動計画を策定し、社内外に周知します。そして、その計画を都道府県労働局に届け出ます。最後に、取り組みの実施効果を測定し、その結果を基に今後の計画を改善します。

この取り組みの中で、特に重要なのが情報公開です。301人以上の労働者を雇用する事業主は、男女の賃金差なども含めたデータを公表する義務があります。これにより、企業の透明性が高まり、信頼性の向上につながります。

行動計画には、計画期間、数値目標、取り組み内容、取り組みの実施時期などを明確に定める必要があります。数値目標は、常時雇用する労働者数に応じて設定され、それに関連する具体的な取り組み内容も含めることが求められます。行動計画が策定された後は、その計画を全ての労働者に周知し、外部の方にも確認できるように公表します。自社のホームページや厚生労働省が運営する女性の活躍推進企業データーベースなどで公表することが推奨されます。

行動計画の公表後は、その計画を都道府県労働局に届け出ます。さらに、取り組みの実施と効果の測定も重要です。数値目標の達成状況や行動計画に基づく取り組みの実施状況を定期的に点検評価し、その結果を基に計画の改善を行います。

また、女性の活躍に関する情報の公表も重要な取り組みの一つです。これは行動計画の数値目標とは異なり、現状の数値を公表するもので、概ね年に一度の更新が求められます。301人以上の労働者を雇用する事業主は、男女の賃金差を含めた3項目以上を公表する義務があります。一方、300人以下の事業主は、1項目以上を選択して公表します。情報の公表方法は自社ホームページでも構いませんが、厚生労働省のデータベースを活用することで、求職者に対するアピール効果が高まります。

以上が、女性活躍推進法の概要と、企業が行うべき具体的な取り組みの流れです。法令に基づく適切な対応を行うことで、女性が活躍できる職場環境を整えるとともに、企業全体の発展につながることが期待されます。女性活躍推進法に関するさらに詳しい情報や具体的な取り組み事例についても、ぜひご覧ください。

えるぼし認定・プラチナえるぼし認定(女性活躍推進法に関する解説動画②)(厚労省)

【以下動画の内容】

企業が「えるぼし」認定や「プラチナえるぼし」認定を受けるには、まず一般事業主行動計画を策定し、社内外に周知し公表することが求められます。この行動計画は、女性の活躍推進を目的とした具体的な取り組みを示すもので、各企業が自社の実情に応じた計画を立て、実行していくことが重要です。

「えるぼし」認定は、企業が行動計画に基づいた取り組みを行い、その結果を厚生労働省に申請することで得られます。申請に際して、企業規模にかかわらず認定を申請することが可能です。認定は、5つの評価基準に基づいて行われ、その基準を満たす度合いに応じて1つ星から3つ星までの段階があります。

具体的な評価基準としては、採用における男女比のバランス、継続就業の年数、労働時間の管理、管理職に占める女性の割合、多様なキャリアコースの提供などが含まれます。これらの基準を満たし、さらに2年連続で改善が見られた場合にのみ認定が得られます。

「プラチナえるぼし」認定を受けるためには、まず「えるぼし」認定を取得していることが前提となります。加えて、行動計画に定めた目標を達成し、5つの評価基準すべてを高水準で満たしていることが求められます。特に、継続就業と管理職比率に関してはより高い基準が設定されています。

「えるぼし」認定を受けた企業には多くのメリットがあります。例えば、厚生労働大臣が定める認定マークを商品や広告に使用することで、女性活躍推進企業であることをPRできます。このPR活動は、求人表への表示を通じて応募者の増加にもつながることが期待されます。さらに、公共調達における優遇措置なども受けることができます。

認定基準の具体的な内容は以下の通りです。まず採用の基準として、男女比が同程度であること、または正社員における女性の割合が産業平均以上であることが必要です。次に、継続就業の基準では、男女別の平均継続勤務年数が一定以上であることが求められます。さらに、労働時間に関しては、法定時間外労働および法定休日労働の合計時間が直近の事業年度において45時間未満であることが必要です。

管理職比率については、管理職に占める女性の割合が産業平均の1.5倍以上であることが求められます。最後に、多様なキャリアコースの提供に関しては、常時雇用する労働者が300人以下の場合は1項目以上、301人以上の場合は2項目以上の実績が必要です。

「えるぼし」および「プラチナえるぼし」認定を受けた企業は、女性の活躍推進企業データベースに情報を公表する義務があります。公表内容は、認定の段階に応じて異なりますが、少なくとも年に一度は更新する必要があります。

以上が、「えるぼし」および「プラチナえるぼし」認定制度の概要とメリットについての解説です。この認定を通じて、企業が女性の活躍を推進し、より働きやすい職場環境を整えることが期待されています。

男女の賃金の差異の情報公表(女性活躍推進法に関する解説動画③)(厚労省)

【以下動画の内容】

2022年7月、厚生労働省は新たな規定を導入し、常時雇用する従業員が301人以上の事業主に対し、男女の賃金差を公表する義務を課しました。これにより、企業は職業生活と家庭生活の両立に関する情報を含め、3項目以上の情報を公開する必要があります。具体的には、女性労働者に関する職業生活の機会提供と賃金差を含む2項目以上、および家庭生活との両立に関する1項目以上の情報です。

男女の賃金差に注目する理由は、雇用管理全体における男女の取り扱いの違いを明確にするためです。賃金差は、募集、採用、配置、昇進、教育訓練など、雇用管理のすべての側面での男女の結果を反映しています。この違いを可視化することで、気づかなかった格差を発見し、改善の必要性を認識することができます。

男女の賃金差の情報は、正規労働者、非正規労働者、およびすべての労働者に分けて公表されます。これにより、各区分ごとに男女労働者の平均年間賃金を算出します。年間賃金とは、企業の事業年度に基づくものです。賃金差は性別、役職、勤続年数、学歴、労働時間、年齢などが絡み合って生じていると考えられます。

厚生労働省の雇用環境均等局では、これらの要素ごとに男女労働者の構成の格差を分析し、要因を特定します。この要因分析では、数値の改善度が大きい項目ほど、男女労働者の構成の格差に大きな影響を与えていると考えられます。例えば、役職や勤続年数において大きな改善度が見られる場合、女性管理職を増やし、女性の勤続年数を延ばすことが賃金差の解消に有効であることが示唆されます。

賃金差を生じさせている主な要因をさらに掘り下げる例として、男女の役職に関する要因分析結果があります。例えば、採用や配置、仕事の配分などで男女間に偏りがある場合や、女性に残業をさせるのはかわいそうだという意識が原因で人事配置が行われる場合です。このような性別役割分担意識を容認する制度が存在することも一因となる可能性があります。

企業は、このように算出した賃金差の数値を公表する際、注釈説明欄に要因分析の結果などを記載し、具体的な状況を説明することが求められます。これにより、単なる数値では見えにくい自社の実情や女性活躍の状況を伝えることができます。

情報公表の方法としては、厚生労働省が運営する女性の活躍推進企業データベースや自社のホームページなどがあり、一般の求職者がどこに情報が掲載されているかを容易に確認できるようにする必要があります。有価証券報告書のみに公表する場合も該当しますので、注意が必要です。

⇒ 詳しくは厚生労働省のYoutubeチャンネルへ