2024年11月22日
労務・人事ニュース
女性活躍推進法に基づく行動計画策定率98.4%!
第75回労働政策審議会雇用環境・均等分科会 資料1-3 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての参考資料(厚労省)
近年、日本の労働市場では女性の活躍推進が大きな注目を集めています。2021年の改正を含む「女性活躍推進法」は、企業規模に応じた行動計画の策定や情報の公表を義務化することで、ジェンダーギャップの是正を目指しています。具体的には、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主は、男女間賃金差異や女性管理職比率などを公表する義務があり、これにより透明性が向上すると同時に、求職者や投資家からの信頼獲得につながることが期待されています。
女性活躍推進法の施行に伴い、多くの企業が行動計画を策定しており、2023年度の報告によると、対象となる企業の約98.4%が計画を届け出ています。このような取り組みは、女性の職業生活における機会の提供や、家庭生活と両立しやすい雇用環境の整備を通じて、多様な働き方を可能にするための重要なステップです。例えば、令和5年度には男女間賃金差異が平均で69.7%から75.3%へと改善しており、これは企業が性別による給与格差を是正する努力を進めていることを示しています。
また、女性活躍の状況を測る指標の中で注目されるのが、管理職に占める女性の割合です。2023年のデータでは、企業規模301人以上の事業所における女性管理職比率は約13.2%で、2016年の9.9%と比較すると確実に向上しています。しかし、国際比較では依然として低い水準であり、さらなる取り組みが求められています。これに関連し、女性労働者の継続勤務年数も着実に伸びており、平均勤続年数が令和5年には9.9年に達しました。男性との差は依然として大きいものの、改善の兆しが見られます。
さらに、職場におけるハラスメント対策も重要な課題です。厚生労働省は、2022年の調査結果をもとに、セクシャルハラスメントや妊娠・出産に関連する差別的対応の防止に向けた取り組みを推進しています。これには、相談窓口の設置や具体的な防止策の実施が含まれ、特に中小企業向けの支援が強化されています。例えば、2023年度には約1,255件のコンサルティングが実施され、企業ごとに適した対策が講じられています。
このような法規制と支援策は、企業にとって単なる義務ではなく、競争力の向上につながる機会でもあります。女性活躍推進企業データベースに情報を公表している企業は、従業員のエンゲージメント向上や採用活動での優位性を実感しているとの声が多く聞かれます。ある企業では、女性活躍に関するデータを公表することで、採用面接時に応募者からの関心が高まったという具体的な成果が報告されています。
今後も、女性の職業選択の自由と家庭生活との両立を支援するために、各企業が自発的に取り組みを進めることが求められています。この流れをさらに加速させるためには、法令遵守にとどまらず、企業文化の変革を通じて、全従業員が働きやすい環境を作り出すことが重要です。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ