2024年12月6日
労務・人事ニュース
女性活躍推進法の延長で企業の義務拡大!中小企業も支援策が充実
第76回労働政策審議会雇用環境・均等分科会 資料1 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての論点(厚労省)
政府は、女性の職業生活における活躍を推進するための施策を強化し、新たに発表された「女性活躍推進法」の延長と見直しにより、企業に対して新たな責任が求められることとなりました。この法案は、女性がキャリアを積む中で平等な機会を得ることを保障し、企業が積極的に女性の社会進出を支援するよう導くための枠組みです。特に注目すべきは、企業規模に応じた義務の拡大と、女性活躍推進に向けたより実効性の高い取り組みが求められる点です。政府は、女性の職業生活における活躍をさらに推進するため、法律を10年間延長することに決定し、その間に企業は新たな基準に従う必要があります。
これに伴い、企業は男女平等の確保や女性活躍推進に向けた新たな義務を負うこととなり、その具体的な取り組みが求められるようになります。特に、常時雇用する労働者が101人以上の企業には、男女間賃金差異や女性管理職比率に関する情報公開が義務化されます。これにより、企業は自社の性別平等や女性の職業選択に資する情報を公開し、透明性を高めることが求められることになります。さらに、女性管理職の登用比率や男女別の賃金差異を公開することが義務付けられるため、企業はその数値を実際に向上させるための対策を講じなければならなくなります。
中小企業に関しても、女性活躍推進法の改正により、新たな取り組みが求められます。常時雇用する労働者が100人以下の企業には、一般事業主行動計画を策定する努力義務が引き続き求められるものの、企業に対して支援策が強化されます。政府は、これらの企業が女性活躍推進に向けて効果的な取り組みを行えるよう、コンサルティングや支援ツールの提供を通じてサポートを行い、成功事例の共有を促進します。これにより、中小企業は大企業と同様に女性活躍推進を進めるためのインフラを整えることができ、女性のキャリア支援に関する取り組みがより広がることが期待されます。
また、女性管理職比率の向上に向けた取り組みも進められています。女性管理職比率は、企業における性別平等を測る重要な指標となるだけでなく、女性社員のキャリアの公平性や昇進の機会を確保するための重要な要素でもあります。政府は、企業に対して女性管理職比率の公開を義務化し、その数値を改善するための取り組みを積極的に行うよう求めています。さらに、男女別の管理職登用比率の公開も推奨され、企業の透明性が一層高まることが期待されています。これにより、企業内での性別に基づく不公平な待遇が改善され、女性がキャリアを積むための平等な機会が提供されることになります。
このような法改正に伴い、企業は自社の賃金体系や管理職登用のプロセスを見直すことを余儀なくされ、性別に関する情報公開を積極的に行う必要が出てきます。特に、男女間賃金差異の公開義務化は、企業にとって大きな課題となります。政府は、賃金格差を単に公表するだけではなく、その要因を分析し、改善に向けた具体的なアクションを企業に求めています。この取り組みによって、企業は賃金の公平性を保つための対策を講じ、女性社員が経済的に自立できるよう支援することが求められるのです。
さらに、職場におけるハラスメント対策も強化されることが決まりました。特に、顧客や取引先による「カスタマーハラスメント」に対して新たに雇用管理上の措置義務が規定されることになります。この新しい方針により、企業は顧客や取引先からの不適切な言動に対しても積極的に対応し、職場の環境を守る責任を果たさなければならなくなります。カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先が従業員に対して身体的、精神的な苦痛を与える行為を指し、その対策を企業が講じることは、社員が快適に働ける環境を提供するために不可欠です。
最後に、企業が女性活躍推進に積極的に取り組んだ場合に与えられる「えるぼし認定制度」の見直しが行われました。この認定制度は、企業が女性の活躍を推進するための具体的な取り組みを行った場合に与えられるもので、企業にとって社会的な信用を得るための重要な指標となります。女性の健康支援に関する取り組みを強化することで、企業はより積極的に女性の職場環境を改善することが期待され、これにより企業の魅力を高め、より多くの女性社員が活躍できる場が提供されることになります。
このように、女性活躍推進法の改正は、企業にとって多くの変革を伴うものとなり、女性の職業生活における平等を実現するための重要な一歩となるでしょう。企業は新たな義務と責任を果たすために、積極的に取り組みを進めることが求められています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ