2025年3月12日
労務・人事ニュース
学術研究等の平均月間実労働時間は153.5時間!前年比1.0時間減(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)
毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)学術研究等
令和6年の毎月勤労統計調査によると、学術研究等の平均月間実労働時間は153.5時間で、前年比1.0時間の減少が確認された。この減少は、研究機関や大学における働き方改革の影響が大きいと考えられる。特に、研究職は長時間労働が一般的とされてきたが、最近では労働時間の適正化が求められ、ワークライフバランスの向上を目指す動きが広がっている。
内訳を詳しく見ると、所定内労働時間は140.1時間で、前年比0.6時間の減少となった。この減少は、大学や研究機関において、時間外労働の削減が進んでいることを示している。特に、国立大学や公的研究機関では、労働環境の整備が進み、一定の労働時間内で研究を行う体制が整いつつある。一方で、民間の研究機関や企業の研究職では、依然としてプロジェクト単位での業務が多く、納期や成果のプレッシャーが労働時間に影響を及ぼすケースが見られる。
一方、所定外労働時間(残業時間)は13.4時間で、前年比5.2%の減少が見られた。このデータから、学術研究等の分野では、残業時間の削減が進んでいることが分かる。特に、研究活動のデジタル化や、AIを活用したデータ解析の導入が進むことで、従来よりも短時間で研究業務を遂行できるようになっている。また、研究助成制度の見直しや、プロジェクトの進行管理が厳格化されたことで、無理な残業を防ぐ仕組みが整えられつつある。
月間出勤日数については、18.5日で前年と変動はなかった。このデータから、学術研究等の分野では出勤日数が安定していることが分かる。特に、大学の研究職や公的機関の研究員は、勤務体系が比較的整っているため、大幅な出勤日数の増減は見られない。一方で、民間企業の研究職では、プロジェクトの進捗状況に応じて休日出勤が発生するケースもあり、業務の繁忙期には労働時間が増加する傾向がある。
企業の採用担当者にとって、このデータが示すポイントは、労働時間の短縮が進む中で、どのように研究の生産性を向上させるかという点にある。学術研究等の分野では、専門性の高い人材が求められるため、優秀な研究者の確保が重要な課題となる。そのため、研究環境の整備や、柔軟な働き方の導入が求められる。特に、リモートワークの導入や、研究業務のデジタル化を進めることで、研究者の負担を軽減しつつ、生産性を向上させる取り組みが必要となる。
また、今後の課題として、労働時間の適正化と研究成果の向上をどのように両立させるかが求められる。研究職は、成果が求められる業務であるため、労働時間を削減することで研究の進捗に影響が出る可能性がある。そのため、効率的な研究プロセスの確立や、研究資金の確保が重要な課題となる。特に、国際競争が激化する中で、日本の研究機関がどのように競争力を維持するかが、今後の業界の動向を左右する要素となる。
今後の展望として、学術研究等の分野は、テクノロジーの発展により、研究の進め方が大きく変化することが予想される。特に、AIやビッグデータを活用した研究手法の確立により、短時間での成果創出が可能となり、労働時間の適正化がさらに進むと考えられる。一方で、研究資金の獲得競争や、成果主義の影響で、長時間労働を求められるケースもあるため、研究者が働きやすい環境を整えることが、業界の成長にとって重要な課題となる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ