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2024年9月3日

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宮城労働局が発表!令和5年度の監督指導で44.4%の事業場が違法な時間外労働を行っていた

長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します【報道発表】(宮城労働局)

宮城労働局は、令和5年度における長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果を公表しました。この監督指導は、長時間労働による過労死などの労災請求が行われた事業場や、月80時間を超える時間外・休日労働が疑われる事業場を対象としています。監督指導が行われた事業場数は426で、そのうち189事業場、すなわち全体の44.4%で違法な時間外労働が確認されました。この数字は、働き方改革の進展にもかかわらず、依然として多くの事業場で違法な長時間労働が常態化している現状を示しています。

さらに、違法な時間外労働を行っていた189事業場のうち、104事業場では月に80時間を超える時間外労働が確認されており、その割合は約55%に達しています。これらの事業場の中には、月100時間を超える労働を行わせていた事業場も70あり、最も長いもので150時間を超えるケースが14事業場ありました。月200時間を超える事例は見られませんでしたが、これだけの長時間労働が行われているという事実は、労働者の健康に深刻な影響を及ぼす可能性が高いと言えます。

また、監督指導の結果、33事業場(7.7%)で賃金不払い残業が確認され、さらに113事業場(26.5%)では過重労働による健康障害防止措置が不十分であることが判明しました。これらの事業場には、是正勧告が行われ、労働条件の改善が求められています。

監督指導の中で、特に問題視されたのは、長時間労働者に対する健康管理措置の不備です。209事業場において、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導や、過重労働による健康障害防止のための適切な措置が講じられていないことが指摘されました。労働時間の適正な把握についても、77事業場で不適正な管理が行われていたため、厚生労働省のガイドラインに基づいた指導が行われました。

労働時間の管理方法についても、調査が行われ、426事業場のうち118事業場では自己申告制による労働時間の確認が行われていましたが、この方法は適正な労働時間の把握が困難であるとして、改善が求められています。タイムカードやICカード、PCの使用時間記録などを基に労働時間を確認していた事業場も多く見られましたが、依然として自己申告制が主流となっている事業場が存在することが、適正な労働時間管理の妨げとなっている現状があります。

また、労働基準監督署が違法な長時間労働を認めた事例も複数報告されました。商業や接客娯楽業の事業場で、36協定で定められた上限時間を超えて時間外労働を行わせたケースがあり、これらの事業場では、労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限を超えた労働が常態化していたことが判明しています。特に、1か月あたりの違法な時間外労働が100時間を超えるケースや、健康障害防止措置が全く取られていない事業場が多く、これらの事業場には是正勧告が行われました。

このような状況を受けて、宮城労働局は今後も長時間労働の是正に向けた取り組みを強化するとともに、11月に実施される「過重労働解消キャンペーン」期間中に、重点的な監督指導を行う予定です。このキャンペーンは、過重労働が労働者の健康に与える影響を減らすことを目的としており、特に長時間労働が問題となっている業種や事業場に対しては、厳格な監督指導が行われる予定です。

これらの取り組みを通じて、働き方改革が実際の労働現場でどれだけ進展しているかを確認するとともに、労働者の健康と安全が確保されるよう、労働基準法の遵守が徹底されることが期待されます。また、企業側も、法令遵守のための取り組みを強化し、労働者の働きやすい環境作りに努めることが求められています。特に、長時間労働が常態化している業種や事業場においては、早急に労働条件の改善が必要です。

宮城労働局は、こうした監督指導の結果を踏まえ、違法な長時間労働が行われている事業場に対しては、是正勧告を行い、再発防止のための具体的な対策を講じるよう指導しています。労働時間の適正な管理と、労働者の健康管理が企業の健全な運営に不可欠であることを再認識し、引き続き、適切な労働環境の整備が求められています。

⇒ 詳しくは宮城労働局のWEBサイトへ

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