2024年9月3日
労務・人事ニュース
宮崎労働局が監督指導で違法労働を摘発、158事業場中46.8%で違法な時間外労働が判明
長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します(宮崎労働局)
宮崎労働局が行った監督指導の結果に関する報告では、令和5年度において長時間労働が疑われる事業場に対して行われた調査が詳細に記されています。この報告書によると、労働基準監督署が監督指導を実施した158の事業場のうち、約46.8%にあたる74事業場で違法な時間外労働が確認されました。特に、月80時間を超える時間外労働が51事業場(全体の68.9%)、月100時間を超えるものが33事業場(全体の44.6%)、さらに月150時間を超えるケースが12事業場(全体の16.2%)で確認されています。これらの違法な時間外労働は、健康障害を引き起こすリスクが非常に高く、労働者の安全を脅かす深刻な問題です。
また、監督指導の結果、賃金不払残業が見られた事業場が全体の7%を占めており、これもまた労働基準法に違反する重大な問題として指摘されています。過重労働による健康障害防止措置が適切に行われていない事業場も22.2%にのぼり、労働環境の改善が強く求められています。
さらに、この報告書では、過重労働を防止するための具体的な取り組みが行われた事業場の状況も記載されています。例えば、労働者の健康を守るために医師による面接指導が実施された事例が多数報告されており、特に93事業場においては、長時間労働を行った労働者に対する医師による健康指導が行われました。また、労働時間の適正な把握が不十分であった事業場については、労働時間管理の改善が指導されました。24の事業場が、このような指導を受け、労働時間の適正把握に努めるよう求められています。
監督指導の具体的な事例としては、例えば、ある小売業の事業場では、2名の労働者が法定労働時間を大幅に超える222時間30分の時間外労働を行っていたケースが紹介されています。この事例では、法定労働時間を超える違法な労働が常態化しており、労働基準監督署から是正勧告が行われました。この勧告により、時間外労働の削減や年次有給休暇の適切な付与が強く求められ、具体的な改善策が導入されました。
また、旅館業においても、管理職の労働者が長時間労働によって精神障害を発症し、労災請求が行われた事例がありました。このケースでは、最長で1か月178時間もの違法な時間外労働が確認され、割増賃金が適切に支払われていないことが問題視されました。労働基準監督署は、この事業場に対して是正勧告を行い、過重労働の再発防止に向けた取り組みが進められることとなりました。
さらに、別の小売業の事業場でも、労働者が2店舗にまたがる労働を行っていたことが問題視され、労働基準法に定められた上限時間を大幅に超える185時間の時間外労働が確認されました。この事例でも、就業規則が適切に届け出られていないことが指摘され、労働基準監督署から是正勧告が行われました。
これらの事例から明らかなように、違法な長時間労働や賃金不払残業は、労働者の健康を著しく脅かす重大な問題であり、企業としての社会的責任が問われています。労働基準法に基づく厳格な労働時間管理と、労働者の健康を守るための適切な措置が不可欠です。今後も、宮崎労働局をはじめとする労働基準監督署は、長時間労働の是正に向けた取り組みを強化し、労働環境の改善を目指していくことが求められています。
⇒ 詳しくは宮崎労働局のWEBサイトへ