2025年3月3日
労務・人事ニュース
宿泊客1人あたり最大500円、年間80億円の税収見込み令和7年9月施行、大阪府の宿泊税が変更!
大阪府「宿泊税」の変更(総務省)
令和7年2月18日、大阪府における「宿泊税」の変更について総務大臣が同意したことが発表された。これにより、大阪府の宿泊税制度が改正され、令和7年9月1日より新たな税率が適用される予定である。今回の改正は、大阪府の観光振興と国際都市としての発展を目指す施策の一環として実施され、府内の宿泊施設を対象とした課税強化が行われる。
今回の改正では、宿泊税の課税対象が広範囲にわたる宿泊施設に及ぶことが明確にされている。旅館業法に基づくホテルや旅館に加え、国家戦略特区における特区民泊、住宅宿泊事業法に基づく民泊施設も対象となる。これにより、従来のホテルや旅館のみならず、短期滞在型の宿泊施設も課税対象として含まれ、観光業全体における公平な税負担を促す狙いがある。
税率については、宿泊料金に応じて3段階に分けられる。1泊5,000円以上15,000円未満の宿泊者には200円、15,000円以上20,000円未満の宿泊者には400円、20,000円以上の宿泊者には500円が課税される。これにより、宿泊料金が高額な施設ほど税負担が大きくなる仕組みが導入される。一方で、5,000円未満の宿泊者や修学旅行の参加者は課税対象外となるため、低価格帯の宿泊者や教育目的の宿泊には配慮がなされている。
この改正により、大阪府は平年度で約80億円の税収を見込んでいる。この収入は、大阪が世界有数の国際都市として成長し続けるために必要な観光振興や都市の魅力向上に向けた施策の財源として活用される予定だ。例えば、観光インフラの整備、観光プロモーションの強化、国際的なイベントの誘致など、観光産業の発展を目的とした幅広い取り組みに充てられることが期待される。
一方で、新たな税制の導入により、宿泊事業者には新たな負担が生じることになる。特に、大阪府内にある中小規模の宿泊施設や民泊業者にとっては、宿泊税の徴収業務や税務処理の負担が増すことが懸念される。また、観光客にとっても宿泊料金の上昇につながる可能性があり、特に国内旅行者の宿泊需要に影響を与える可能性がある。そのため、宿泊事業者は新たな税制度への適応が求められ、今後の対応策を検討する必要がある。
この改正案は、令和6年11月5日に大阪府議会で可決された後、同年11月25日に総務大臣との協議が行われた。そして令和7年2月18日に総務大臣が正式に同意し、令和7年9月1日からの施行が予定されている。条例には5年ごとに見直し規定が設けられており、今後の観光動向や税収の状況に応じて制度の修正が行われる可能性もある。
大阪府の宿泊税改正は、国内外の観光客からの税収を活用し、府の観光産業の発展を図る取り組みとして注目されている。一方で、宿泊業者や観光客にとってはコストの増加という側面もあり、業界全体としてどのように対応するかが課題となる。特に、2025年の大阪・関西万博を控え、国内外の観光客が増加することが見込まれる中で、新たな宿泊税制度がどのような影響を与えるのかについて、今後の動向が注視される。
また、同様の宿泊税は東京都や京都府などでも導入されており、各自治体が独自の観光施策を展開する中、大阪府の税収の使い道がどのように観光振興に結びつくのかがポイントとなる。宿泊事業者や旅行業界は、新たな税制の影響を踏まえた価格設定や集客戦略を考慮する必要があり、今後の市場動向に合わせた柔軟な対応が求められる。
この税制改正によって、大阪府は観光都市としての競争力を高め、インバウンド需要のさらなる拡大を目指す。一方で、宿泊税の導入が観光客の流れにどのような影響を及ぼすのか、特に国内旅行者の動向に対して慎重に評価する必要がある。宿泊業界にとっては、単なる税負担の増加ではなく、新たなビジネスチャンスとして捉える視点も重要であり、府内の観光資源を最大限に活かす戦略的な対応が求められる。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ