2025年2月9日
労務・人事ニュース
富山県の有効求人倍率は令和6年12月に1.38倍、前年同月比で0.01ポイント減少し19ヶ月連続で求人数が減少
労働市場の動向(12月)(富山労働局)
富山労働局が発表した令和6年12月の労働市場月報によると、県内の雇用情勢は一定の安定を保ちながらも、一部で停滞の兆しが見られる。最新のデータによれば、有効求人倍率(季節調整値)は1.38倍と前月と同じ水準を維持している。全国平均の1.25倍と比較すると富山県は依然として高い水準にあるものの、新規求人数の減少が続いており、今後の動向が注目される。
有効求人数は前月比で同数、新規求人数も2ヶ月連続で減少している。特に、19ヶ月連続で有効求人数の減少が続いており、雇用の拡大が鈍化していることがうかがえる。一方で、有効求職者数も5ヶ月連続で減少しており、求職者の数自体が減少傾向にある点も特徴的だ。これにより、求人が求職を上回る状況は続いているものの、求人の伸びが鈍化していることで、雇用市場に足踏み感が生じている。
業種別に見ると、製造業や建設業の新規求人数が減少しており、特に建設業では新規求人倍率が低下傾向にある。製造業では、一部の業種で求人数の増加が見られるものの、全体としては前年同月比で減少している。これは、世界的な経済減速や資材価格の高騰などの影響を受けている可能性がある。医療・福祉分野では求人数の減少は限定的だが、充足率が低く、人手不足の傾向が続いている。
また、正社員の有効求人倍率(原数値)は1.52倍と前年同月より0.06ポイント上昇しており、企業側の採用意欲は依然として高いことがわかる。特に、常用雇用を中心とした求人が維持されており、安定した雇用を求める求職者にとっては一定のチャンスがある。ただし、新規求職申込件数は減少傾向にあり、求職者の活動がやや消極的になっている可能性も指摘されている。
地域別の状況を見ると、富山市や高岡市では依然として求人倍率が高い水準を維持しているが、魚津市や砺波市などでは求人倍率が低下傾向にある。特に、中小企業が多い地域では新規求人の減少が目立ち、企業の採用活動が抑制されている可能性がある。
雇用保険の受給者数に関しては、前月比で減少しており、雇用環境の悪化にはつながっていない。しかし、離職票の交付件数はやや増加傾向にあり、一部の業界では雇用調整が進んでいることがうかがえる。これは、特にパートタイム労働者や契約社員などの非正規雇用に影響を及ぼしている可能性がある。
企業の採用担当者にとっては、求職者の減少が続く中で、優秀な人材を確保するための戦略がより重要になってくる。新規求人倍率が下降傾向にある業界では、給与や福利厚生の見直し、リモートワークの導入など、求職者にとって魅力的な条件を提供することが必要となる。また、若年層の採用が課題となっている業界では、インターンシップや研修制度の充実を図ることで、長期的な人材確保につなげることが求められる。
今後の雇用市場の見通しについては、国内経済の動向や企業の景況感が大きく影響を及ぼすと考えられる。現時点では、求職者の減少と求人の伸び悩みが同時に進行しており、今後の動向に注目が集まっている。特に、富山県内の企業にとっては、人材確保の難易度が高まる可能性があるため、早めの採用戦略の見直しが求められる。
⇒ 詳しくは富山労働局のWEBサイトへ