2025年2月8日
労務・人事ニュース
山口県の有効求人倍率は2024年12月時点で1.40倍、前月比0.02ポイント減少し求職者数が増加傾向
山口県の雇用情勢(令和6年12月分及び令和6年分)について(山口労働局)
2024年12月の山口県の雇用状況が発表され、求人倍率が1.40倍となったことが明らかになった。前月と比較すると0.02ポイントの低下となり、求職者数が増加した一方で、有効求人数が減少している。このデータは、企業の採用戦略や求職者の動向を理解するうえで重要な指標となる。
最新の統計によると、有効求職者数(季節調整値)は19,574人で前月比0.7%増加。一方、有効求人数(季節調整値)は27,457人で前月比0.6%減少した。これにより、求職者1人あたりの求人倍率は微減し、企業の採用活動にとってはやや厳しい状況となっている。
山口県の労働市場は、長期的に求人数が求職者数を上回る状態が続いているものの、新規求人数の減少が顕著である。12月の新規求人数は9,452件となり、前年同月比で6.8%減少。特に建設業や製造業などの一部業種では求人数が増加しているが、小売業やサービス業では減少が見られる。この傾向は、消費の変化や企業のコスト削減策などが影響している可能性が高い。
業種別の動向を見ると、建設業では前年同月比で9.3%の増加が見られ、新規求人数は1,312件に達した。一方、卸売業・小売業では12.6%減の1,148件、生活関連サービス業・娯楽業では26.2%減の315件と、大きな減少が確認された。また、医療・福祉分野でも新規求人数が前年比4.7%減となっており、労働力不足が指摘される業界でも採用抑制の動きがみられる。
山口県の各地域別にみると、下関市の有効求人倍率は1.46倍、防府市は1.65倍、宇部市は1.95倍と、地域によって若干の差がある。地域経済の状況や産業構造によって求人の増減が異なるため、企業が採用戦略を立てる際には、このようなデータを活用することが重要だ。
また、雇用市場全体としては、正社員の有効求人倍率は1.36倍となり、前年同月比で0.02ポイントの増加が見られた。これは、非正規雇用に比べて正社員の求人が比較的安定していることを示している。一方、新規求人倍率は2.28倍で、前年より0.03ポイント減少しており、新規採用のペースが鈍化している可能性がある。
求職者の動向についても注目したい。12月の新規求職者数は3,240人で、前年同月比0.1%の減少。特に自己都合退職者が多く、転職市場は一定の活発さを維持しているものの、企業側の求人減少によってマッチングが難しくなっている状況だ。また、定年退職後の再就職を希望する求職者の増加も見られ、高年齢層の労働市場への参加が引き続き進んでいる。
こうした状況の中、企業は採用計画の見直しを迫られている。求職者が増加し、求人数が減少する中で、より競争力のある採用戦略を構築することが求められる。例えば、従業員の定着率を高める施策や、未経験者向けの研修制度を充実させることで、人材確保を図ることが考えられる。また、テレワークの導入やフレックスタイム制の拡充など、柔軟な働き方を提供することで、多様な人材の確保が可能になる。
今後の雇用市場の動向を予測する上で、全国的な経済状況も無視できない。全国の有効求人倍率は1.25倍となっており、山口県の1.40倍をやや上回る。全国的に見ても求職者数の増加が続いており、企業が優秀な人材を確保するためには、競争が激しくなることが予想される。
このような状況を踏まえ、企業の採用担当者は、データに基づいた戦略的な採用計画を立てることが重要だ。例えば、求人数が増加傾向にある業種への転職支援や、採用市場の変化をいち早く捉えるための市場調査などが有効となる。また、採用後の研修制度やキャリアアップの支援策を充実させることで、長期的な人材確保につなげることができる。
企業側の視点から見ても、人材確保のための工夫が求められる時代となっている。特に、デジタル技術を活用した採用活動の強化や、採用基準の見直しなどが今後の課題として浮上するだろう。今後の労働市場の動向を注視しつつ、柔軟な対応を行うことが、企業の成長につながる鍵となる。
⇒ 詳しくは山口労働局のWEBサイトへ