2024年10月9日
労務・人事ニュース
山形県の新規学校卒業者有効求人倍率が1.37倍に上昇!令和6年8月の雇用動向から見る今後の見通し
令和7年3月新規学校卒業者の職業紹介状況(8月末)(山形労働局)
山形県内の最新の雇用情勢に関する情報は、特に新規求人倍率と有効求人倍率に焦点を当てると、県全体の雇用市場がどう変動しているかを理解する上で役立ちます。山形労働局の報告によると、2024年8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.37倍で、前月より0.07ポイント上昇しました。これは、求職者1人に対して約1.37件の求人があることを示しています。また、新規求人倍率は2.24倍で、こちらも前月比で0.21ポイント上昇しています。こうしたデータから、山形県の雇用市場は一見すると堅調に見えますが、全体的にはやや弱含みの傾向が続いています。
県内では特に医療・福祉分野での求人が活発で、2024年8月時点では前年同月比で19.6%増となっており、他の産業に比べて顕著な増加を示しています。医療や福祉分野の求人は、地域社会の高齢化や健康への関心の高まりを反映しており、今後もこの分野での需要は続くと予想されます。一方で、製造業や建設業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業といった主要な産業では求人が減少傾向にあり、特に建設業では前年同月比で18.2%減少、製造業では15.9%の減少が見られます。これにより、製造業全体では8ヶ月連続で求人が減少しており、業界全体で厳しい状況が続いています。
新規求職申込件数については、2024年8月のデータで前年同月比11.0%減となり、2ヶ月ぶりに減少傾向が確認されました。これには、在職者や離職者の求職活動が控えめであることが影響しており、特に在職者の新規求職申込件数は前年同月比で16.1%減少しています。無業者についても0.6%減少し、3ヶ月連続での減少となっています。このことから、求職者全体の動きが鈍化していることが分かります。
また、有効求人数は22,812人となり、前月比で2.8%の増加を示しましたが、前年同月と比較すると4.2%の減少を記録しており、16ヶ月連続での減少となっています。特にパートタイムを含む全体的な求人数の減少が目立っており、今後の雇用情勢への影響が懸念されます。正社員の新規求人数も前年同月比で5.9%減少し、全体の新規求人数に占める割合は45.7%となっています。正社員求人の減少は、地域経済や企業活動の停滞を反映している可能性があります。
県内の雇用保険受給者数も増加傾向にあり、2024年8月には3,897人が受給しており、前年同月比で1.8%増加しました。この増加は16ヶ月連続で続いており、特に長期失業者の増加が顕著です。これに伴い、失業率の上昇や長期にわたる雇用の不安定化が懸念されています。
全国的な雇用情勢とも比較してみると、山形県は依然として高い有効求人倍率を維持していますが、全国平均の1.23倍と比べても高めです。しかし、正社員求人倍率に限ると1.17倍となり、全国平均とほぼ同水準です。全国的には、完全失業率は2.5%で前月比0.2ポイント改善していますが、雇用の改善ペースは地域差があるようです。
雇用情勢においては、特定産業の動向が大きな影響を及ぼしています。例えば、製造業では業種ごとの違いが顕著で、16業種中8業種が前年同月を上回っているものの、全体としては8ヶ月連続での減少となっています。特に食料品製造業や繊維工業、輸送用機械器具製造業などでは大幅な減少が見られ、これが県内全体の製造業求人減少を引き起こしている一因となっています。一方、サービス業では前年同月比43.2%の大幅な増加が見られ、職業紹介や労働者派遣業などが活発化しています。
このように、山形県の雇用情勢は全体的には高水準を維持しつつも、業種ごとに明暗が分かれる状況が続いています。特に、医療・福祉分野の求人増加やサービス業の拡大が今後も県内経済を支える重要な要素となるでしょう。しかし、製造業や建設業の低迷が続く中、これらの産業に依存する地域ではさらなる対策が必要とされています。また、新規求職者の減少や失業率の上昇は、今後の経済状況をさらに複雑化させる可能性があります。
企業の採用担当者にとって、これらのデータは非常に重要です。求職者数が減少する中で、適切な人材確保が難しくなっている現状を踏まえ、積極的な採用活動や魅力的な雇用条件の提供が求められます。また、雇用保険の受給者増加や失業率の動向を考慮しながら、長期的な人材戦略を練る必要があります。山形県内の雇用情勢がどう変化していくか、今後の動向に注視していくことが重要です。
⇒ 詳しくは山形労働局のWEBサイトへ