2024年11月12日
労務・人事ニュース
山梨県の有効求人倍率1.25倍!正社員求人が増加する中で採用競争が激化
山梨県の労働市場の動き(令和6年9月分)(山梨労働局)
令和6年9月の山梨県の労働市場に関するデータでは、有効求人倍率や求職者数、新規求人数など、企業の採用担当者が注目すべきポイントが多く見られます。これらの情報を基に、労働市場の動向を詳しく分析し、企業の採用活動における重要なインサイトを提供します。
まず、有効求人倍率(季節調整値)は1.25倍となり、前月比で0.03ポイントの低下が見られました。これは、求職者1人に対して1.25件の求人が存在することを示しており、求職者にとって比較的有利な労働市場が続いている状況です。また、新規求人倍率も2.10倍で、前月より0.19ポイント低下していますが、依然として2倍を超える水準であり、新規求人の需要が引き続き高いことがわかります。
次に、正社員の有効求人倍率は1.02倍と、前年同月比で0.11ポイント上昇しました。これは、正社員の求人が増加しつつあり、企業が安定的な雇用を提供しようとしている傾向を反映しています。一方で、パートタイムの新規求職者数は1,042人と、前年同月比で5.0%減少しました。これは、一部の業界や職種において雇用調整が行われている可能性を示唆しています。
山梨県の労働市場における産業別の動向を見てみると、建設業や情報通信業、生活関連サービス業、娯楽業で新規求人が増加しました。特に建設業では前年比14.4%(65人)増加しており、県内のインフラ整備や住宅建設が活発化していることが伺えます。また、情報通信業でも14.6%(12人)の増加が見られ、デジタル化やリモートワークの普及が進んでいる影響があると考えられます。一方で、製造業や運輸業、卸売業、小売業などの一部の業種では求人が減少しており、特に製造業では前年比9.8%(92人)の減少が顕著です。これは、地域経済全体の変動や供給チェーンの影響を受けている可能性があります。
新規求人数全体では5,716人となり、前年同月比で7.1%(436人)減少しました。これは、特に中小企業における雇用の調整が進んでいることを示唆しています。大企業は比較的安定して求人を出している一方で、規模の小さな事業者では経済の不確実性やコスト増加に対応するため、求人の抑制が行われているようです。
また、就職件数は757件となり、前年同月比で12.3%(106件)減少しました。これは、求人に対する充足率が下がっていることを意味し、採用が思うように進んでいない状況を反映しています。新規求人に対する充足率は13.2%と、わずかに前年同月より低下しています。このことから、求人は出しているものの、適切な人材が見つからない、もしくは採用プロセスにおいて企業と求職者のミスマッチが生じている可能性が示唆されます。
求職者側の動向を見てみると、離職者のうち自己都合での離職者は1,039人と前年同月比で7.2%減少しています。事業主都合による離職者は252人と、前年同月比で20.5%減少しており、企業による解雇や人員整理の圧力はやや緩和されている様子がうかがえます。しかし、全体としては新規求職者数が減少しており、就職市場に出てくる求職者数自体が減っていることがわかります。
このような山梨県の労働市場のデータは、企業が採用活動を行う際に重要な指標となります。特に有効求人倍率が1.25倍で安定していることは、企業が採用活動を進める上で、依然として求職者にとって有利な状況であることを意味しています。このため、採用においては競争が激しく、より良い待遇や福利厚生、キャリアパスの明確化が求職者に対する魅力として重要になります。
一方で、製造業やサービス業など一部の業界では求人が減少していることから、特定の業種においては採用の難易度が高まっている可能性があります。特に技術職や専門職においては、求人の減少に伴い、企業が求めるスキルを持つ人材を獲得するためには、給与水準の見直しや研修制度の強化が必要です。
以上のように、山梨県の労働市場のデータを踏まえた採用活動は、企業の成長にとって不可欠です。特に有効求人倍率の動向や産業別の求人動向を把握し、戦略的に採用活動を進めることが求められます。今後も労働市場の変化に柔軟に対応し、優秀な人材の確保に努めることが、企業の競争力を維持・向上させるために重要です。
⇒ 詳しくは山梨労働局のWEBサイトへ