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2024年8月15日

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岡山県 求人倍率1.36倍、就職率32.2%の現実に企業はどう対応すべきか?

雇用情勢(岡山労働局管内)令和6年6月分(岡山労働局)

岡山労働局が発表した最新の労働市場データによると、令和6年6月時点での有効求人倍率は、前月比で0.09ポイント低下し、1.36倍となりました。この結果は、3か月連続での低下を示しており、労働市場の逼迫度合いが緩和されていることを示唆しています。一方で、新規求人倍率は前月比で0.12ポイント上昇し、2か月ぶりに上昇に転じたことが確認されています。

このデータに基づいて、岡山県内の産業別新規求人の状況を詳しく見ると、建設業、製造業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉など、主要産業での新規求人がいずれも前年同月比で減少していることがわかります。特に、製造業では前年同月比で19.3%減少し、建設業でも15.8%の減少が見られました。このような求人減少の背景には、景気の不透明感やコロナウイルスの影響などが影響していると考えられます。

さらに、岡山県全体の有効求人数は40,261人と前年同月比で11.1%減少し、12か月連続の減少傾向が続いています。この減少傾向は、企業が新規採用を控えていることを示唆しており、特に非正規雇用の減少が顕著です。一方で、有効求職者数は31,402人と前年同月比で0.6%増加しており、求職者側は増加傾向にあります。これにより、求人倍率が低下している背景には、求人の減少と求職者数の増加というダブルパンチが影響していると言えるでしょう。

就職件数も前年同月比で8.5%減少し、1,842件にとどまりました。これにより、就職率は32.2%となり、前年同月比で0.4ポイント低下しています。このような状況から、求職者にとっては厳しい雇用環境が続いており、特に新規求職者にとっては、求人の減少が就職活動の難易度を高めている要因となっています。

一方で、雇用保険の被保険者数は603,289人と前年同月比で0.2%増加し、7か月連続で増加しています。これにより、労働市場全体では依然として一定の雇用が維持されているものの、解雇者数が445人と前年同月比で28.2%増加し、3か月ぶりに増加に転じていることが懸念材料となっています。また、雇用保険受給者実人数は6,491人と前年同月比で3.6%減少しており、雇用保険の受給者数自体は減少傾向にありますが、受給者数の減少が必ずしも雇用状況の改善を意味するわけではなく、雇用保険を利用しない求職者の増加が考えられます。

さらに、正社員の有効求人倍率は1.20倍と前年同月比で0.02ポイント低下しており、正社員の求人もやや鈍化しています。これは、企業がコストを抑制するために非正規雇用を増やし、正社員の採用を抑制している可能性が考えられます。

岡山労働局は、今後も雇用情勢の推移に注視し、特に物価上昇が雇用に与える影響について警戒を強める必要があると指摘しています。企業にとっては、こうした雇用情勢を踏まえた採用戦略が求められると同時に、労働市場の変動に対応した柔軟な人材マネジメントが求められる時期に差し掛かっていると言えるでしょう。

採用担当者が注意すべき点としては、求人倍率の低下と求職者数の増加により、競争が激化していることです。これにより、優秀な人材を獲得するためには、魅力的な求人条件の提示や効果的な採用プロセスの構築が求められます。特に、デジタル化が進む中で、オンライン上での求職者とのエンゲージメントを強化することが不可欠です。さらに、非正規雇用から正規雇用への転換を促進する施策や、社員の定着率を向上させるための取り組みも重要です。

また、労働市場全体の動向を定期的に把握し、採用計画を柔軟に見直すことも求められます。企業が競争力を維持するためには、短期的な採用ニーズに対応しつつ、中長期的な視点での人材戦略を構築することが重要です。特に、少子高齢化が進む日本の労働市場においては、今後ますます人材の確保が難しくなることが予想されるため、今のうちに効果的な採用戦略を構築することが求められます。

採用担当者にとって、このような厳しい労働市場の中で、いかにして企業の魅力を伝え、求職者の関心を引くかが重要な課題となります。そのためには、企業のビジョンやミッションを明確にし、求職者が共感できるようなメッセージを発信することが不可欠です。さらに、職場環境の改善やキャリアパスの提供など、求職者にとって魅力的な要素を強化することが、採用の成功につながるでしょう。

最後に、岡山労働局の最新データを基に、企業の採用戦略を見直す際には、業界や地域特有の動向を十分に考慮することが重要です。岡山県内の産業別の求人動向や、有効求人倍率の推移を参考にしながら、自社に最適な採用戦略を立案し、柔軟に対応していくことが求められます。今後も、労働市場の変動を見極めつつ、持続可能な人材マネジメントを実現するための取り組みを続けていく必要があるでしょう。

⇒ 詳しくは岡山労働局のWEBサイトへ