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2025年3月2日

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岩手県の公共交通改革!JR乗車券でバスも利用可能に、106バスとの共同経営で利便性向上へ

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岩手県県央部・沿岸部間にて、バス事業者と鉄道事業者間の共同経営がスタートします ~JR乗車券類で、並行するバス路線の乗車が可能となり、乗車機会が拡大~(国交省)

岩手県の県央部と沿岸部を結ぶ公共交通の利便性向上を目的に、新たな取り組みが始まる。国土交通省は令和7年1月22日付で、岩手県北自動車株式会社と東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)による共同経営計画を認可した。この計画の実施により、JR山田線の盛岡駅から宮古駅までの区間に並行して運行する「106バス」でもJR乗車券類の利用が可能となる。開始日は令和7年4月1日で、計画期間は令和12年3月31日までの5年間を予定している。

この共同経営により、公共交通の利用機会が拡大し、地域の移動手段としての利便性が大幅に向上すると期待されている。JR山田線の盛岡駅~宮古駅間には、一部の駅を除き、「106バス」が並行して運行しているが、これまではJRとバスの乗車券が別々に販売されていた。今回の施策により、JRの乗車券を持っていれば、バスにも乗車できるようになるため、利用者は交通手段を柔軟に選択できるようになる。特に、鉄道の待ち時間が長い場合や、目的地によってバスの方が便利な場合などに、スムーズな移動が可能となる。

この施策のもう一つの目的は、地域の公共交通機関の収益性改善と持続可能な運営の確立だ。現在、全国的に地方の公共交通機関は利用者の減少により厳しい経営状況に直面している。特に、鉄道とバスの並行路線がある地域では、利用者が分散し、双方の運行本数を維持するのが難しくなっている。そこで、今回の共同経営では、JR東日本がJR乗車券でバスを利用した乗客の実績に基づいて、岩手県北バスに一定額を支払う仕組みを導入する。これにより、バス事業者側の収益性が向上し、地域の公共交通を安定的に維持できるようになる。

また、利用者にとっての最大のメリットは、待ち時間の短縮と乗り継ぎの利便性向上だ。特に、通勤・通学で鉄道とバスを併用する人にとっては、どちらの交通機関も同じ乗車券で利用できるため、乗り換えがスムーズになる。例えば、鉄道の運行間隔が長い時間帯においても、並行して走るバスを利用することで、より短い待ち時間で目的地へ到着できる可能性が高まる。さらに、地域の観光客にとっても、移動手段の選択肢が広がることは大きな利点となる。特に、盛岡から宮古への移動は、観光需要の高いルートの一つであり、乗車券の共通化によって、より多くの観光客が気軽に利用できるようになると考えられる。

この共同経営の背景には、地方の公共交通の課題がある。地方都市では、人口減少や高齢化に伴い、交通機関の利用者数が減少し、赤字路線の維持が難しくなっている。特に鉄道では、運行本数を削減せざるを得ないケースも増えており、その結果として移動手段の選択肢が減少し、地域住民の生活の利便性が低下するという悪循環が生じている。バスも同様に、運行本数の維持が難しくなっているケースが多く、地域公共交通の将来的な存続が課題となっている。

こうした課題を解決するために、国土交通省は「独占禁止法特例法」を活用し、鉄道とバスの事業者が連携できるように制度を整備した。この法律のもとで認可された共同経営は、公共交通の持続可能な運営を目指し、鉄道とバスが競争関係ではなく、補完し合う関係を築くことを目的としている。今回の岩手県の事例は、こうした制度を活用した具体的な取り組みの一つであり、今後、全国各地の地方交通においても同様の仕組みが導入される可能性がある。

岩手県の事例では、JR山田線と「106バス」の連携によって、運行本数の実質的な増加を実現し、利便性を向上させることが主な目的となっているが、今後はさらに、他の交通手段との連携やデジタル技術を活用した利便性向上策が検討される可能性もある。例えば、スマートフォンアプリを活用したシームレスな乗り継ぎ案内や、キャッシュレス決済の導入などが考えられる。また、地域の観光資源と連携した乗車券の販売や、地元の商店と連携した割引制度の導入など、利用促進策も求められる。

このような取り組みは、地域の公共交通を維持し、住民の移動手段を確保するだけでなく、観光振興や地域活性化にも貢献する可能性がある。特に、岩手県のように広域にわたる観光地を持つ地域では、公共交通の充実が観光客の誘致につながるため、今後もさらなる施策の展開が期待される。

今回の共同経営の成果がどのように現れるのか、今後の動向が注目される。国土交通省は今後も、同様の事例を全国各地で展開できるように制度の周知と運用の円滑化を進めていく方針だ。地域交通の新たなモデルケースとして、岩手県の取り組みは今後の地方公共交通のあり方に大きな影響を与えることになりそうだ。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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