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2024年9月3日

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岩手県 令和5年度個別労働紛争、いじめ・嫌がらせ相談が20%超で最多、企業の対応が急務

令和5年度の個別労働紛争解決制度施行状況について(岩手労働局)

令和5年度の個別労働紛争解決制度施行状況に関する報告書は、労働紛争の現状とその解決手段に関する重要なデータを提供しています。この報告書によると、労働者と事業主の間で発生する個別の労働紛争が依然として高い水準で発生しており、その中でも「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が最も多く、労働環境の改善が求められることが示されています。

令和5年度の総合労働相談件数は11,564件に達し、前年度から0.6%増加しています。このうち、民事上の個別労働紛争に関する相談件数は3,822件と前年度から0.2%減少しましたが、依然として高い水準を維持しています。これらの相談のうち、いじめ・嫌がらせに関するものが917件で全体の20.2%を占め、最も多い相談内容となっています。この問題は、職場環境が適切に整備されていないことが原因である可能性が高く、労働者の精神的な健康を損なうリスクがあるため、企業側の対応が求められます。

助言・指導の申出件数は83件と前年度から43.1%増加しており、その内容は「その他の労働条件」や「いじめ・嫌がらせ」が主なものとなっています。また、あっせん申請件数も34件と9.7%増加しており、これらの手続きが労働者と事業主の間での紛争解決に役立っていることがわかります。あっせんに参加した場合の解決率は100%に達しており、労働者が紛争を解決するための手段として効果的であることが示されています。

さらに、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム・有期雇用労働法に関する相談件数も増加しています。特に、労働施策総合推進法に基づくパワハラ防止措置に関する相談は955件に上り、前年度比21.3%の増加を記録しています。この増加は、職場におけるパワハラ対策がまだ十分に浸透していないことを示しており、企業が労働環境の改善に向けてさらなる取り組みを行う必要性があることを強調しています。

この報告書からは、企業が従業員の労働環境を改善し、紛争の未然防止に努めることが重要であることが浮き彫りになっています。特に、いじめ・嫌がらせやパワハラといった問題は、企業の労働環境に大きな影響を与えるため、早急な対応が求められます。また、あっせんや助言・指導といった解決手段を活用することで、迅速かつ円満に紛争を解決することが可能であり、これらの制度の利用を促進することが必要です。

このような状況を踏まえ、企業の採用担当者にとっては、労働紛争の未然防止や労働環境の整備が重要な課題となります。従業員が安心して働ける環境を整えることは、企業の持続可能な成長に直結するものであり、そのためには法令遵守や労働者との信頼関係の構築が不可欠です。企業が積極的に労働環境の改善に取り組むことで、優秀な人材の確保と定着が期待できるでしょう。

この報告書のデータは、企業が労働環境の改善に向けた取り組みを強化するための基盤として活用できるものであり、特に人事・労務担当者にとっては有益な情報と言えます。企業が労働者との信頼関係を築き、健全な労働環境を提供することは、長期的なビジネスの成功に欠かせない要素であるため、今後もこうした取り組みを継続していくことが求められます。

⇒ 詳しくは岩手労働局のWEBサイトへ

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