2025年2月20日
労務・人事ニュース
島根県の高卒新卒内定率が87.1%に低下!企業が直面する課題と対策とは?(令和6年12月時点)
「令和7年3月新規高等学校等卒業予定者に対する島根県内の求人受理・就職希望者及び就職内定の状況を公表します」について(令和6年12月時点)(島根労働局)
令和7年3月に卒業を迎える新規高等学校等卒業予定者を対象とした島根県内の求人受理、就職希望者、そして就職内定状況が発表された。今回の統計によれば、島根県内の求人受理数は前年同期比2.3%減の3,217人となり、就職希望者数は1,040人となった。そのうち、県内での就職を希望する者は710人であり、県内就職希望者の割合は68.3%と前年より0.9ポイント低下している。
求人倍率に関しては、県内外すべての求人を含めた全体の求人倍率は3.09倍と前年より0.11ポイント減少し、県内求人倍率は4.53倍と前年より0.09ポイント低下した。この数値を見ると、県内外の求人は安定しているものの、わずかな減少傾向にあることがわかる。
就職内定率の面では、就職希望者全体の内定率は87.1%であり、前年の91.7%から4.6ポイントの低下が見られる。また、県内就職希望者に限定した場合の就職内定率は82.5%となり、前年の89.2%から6.7ポイント低下した。これは、県内就職を希望する若者の内定獲得が前年よりも厳しくなっていることを示している。
地域別の求人状況を見ると、松江市の求人数が最も多く1,175人、次いで出雲市が868人となっている。一方で、隠岐の島や川本町などの地域では求人数が比較的少なく、特に川本町の求人数は82人と低水準にとどまっている。地域ごとの求人倍率を比較すると、最も高いのは浜田市の9.11倍であり、最も低いのは隠岐の島の1.69倍となった。このデータからも分かるように、地域によって求人環境には大きな差があることがうかがえる。
過去数年間の動向を分析すると、求人受理数は令和3年から令和6年にかけて増加傾向にあったものの、令和7年3月卒業予定者のデータでは前年を下回る結果となった。求職者数もほぼ横ばいで推移しているが、県内就職希望者の割合は年々減少している点が注目される。特に、県内就職希望者の割合は令和3年の71.4%から令和7年には68.3%へと低下しており、若年層の県外流出が懸念される。
さらに、就職内定率の推移を見てみると、令和3年から令和6年にかけて90%以上を維持していたが、令和7年3月卒業予定者のデータでは87.1%に低下した。これは、新型コロナウイルスの影響が落ち着いた後も、依然として企業の採用活動が慎重になっている可能性を示唆している。また、県内就職内定率の減少は、県内企業が若年層の確保に苦戦していることを物語っている。
県内企業にとって、地元の若者の就職意欲を高めるためには、給与や福利厚生の改善、キャリア形成の支援、働きやすい職場環境の整備などが求められる。特に、県外への流出を防ぐためには、地域の魅力を伝える施策や、若者が県内で安定して働ける仕組みの構築が不可欠となるだろう。企業側も、より積極的な採用活動を行い、魅力的な雇用環境を提供することが求められている。
今回の統計結果を踏まえ、今後の対策としては、県内企業と教育機関の連携強化、地域ごとの求人格差の是正、そして県外に流出する若年層の意識改革が必要である。特に、企業の採用担当者にとっては、県内の求職者動向をしっかりと把握し、自社の採用戦略を見直す機会となるだろう。
⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ