2025年1月10日
労務・人事ニュース
島根県内の企業1,414社調査 65歳までの雇用確保措置実施率99.9%達成(令和6年6月1日時点)
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果(島根労働局)
令和6年12月20日、島根労働局は「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表しました。この報告は、島根県内に本社を置く従業員21人以上の企業1,414社を対象に、2024年6月1日時点での高年齢者雇用に関する状況をまとめたものです。調査結果から、高年齢者の雇用確保に向けた企業の取り組みや課題が浮き彫りになっています。
報告によれば、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は全体の99.9%に達しました。これは中小企業、大企業ともにほぼ100%の水準であり、企業規模を問わず多くの企業がこの法律を遵守していることを示しています。これに対し、70歳までの就業確保措置を講じた企業は44.6%で、前年から2.2ポイントの増加が見られました。中小企業においては45.3%、大企業では19.5%という結果であり、依然として取り組みの進捗にばらつきがある状況です。
さらに詳細な分析では、65歳以上の雇用確保措置の内訳として、「定年制の廃止」を選択した企業が3.7%、「定年の引上げ」が34.4%、「継続雇用制度の導入」が61.9%という結果が示されました。特に継続雇用制度が最も多く採用されており、現行の高齢者雇用安定法が制度適用者の拡大を求めている影響が反映されています。一方で、70歳までの就業確保措置においても「継続雇用制度」が37.9%と最も多く、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」を選択した企業の割合はそれぞれ3.7%と3.0%に留まっています。
今回の報告では、65歳以上の継続雇用制度を導入している企業の87.3%が希望者全員を対象としている一方、12.7%の企業が基準を設けて対象者を限定していることが分かりました。大企業ではこの割合が中小企業に比べて低いことから、規模の大きい企業ほど個別の対応を取る傾向があると言えます。また、経過措置としての基準適用年齢に達した社員のうち、94.6%が引き続き継続雇用されており、残りの5.4%が継続雇用を希望しなかったという結果でした。
定年制の状況についても興味深いデータが得られています。定年制を廃止している企業は全体の3.7%に過ぎませんが、定年を65歳に引き上げた企業は29.0%に上り、前年より2.5ポイントの増加を記録しました。さらに、66~69歳の定年を設定した企業は2.4%、70歳以上の定年を設定した企業は3.0%に留まっています。企業規模別では、中小企業がこれらの措置をより積極的に取り入れていることが分かりました。
今回の報告は、企業が高齢化社会に対応するためにどのような取り組みを行っているかを包括的に示すものです。しかしながら、70歳までの就業確保措置の普及率は依然として低く、高年齢者が年齢に関係なく働き続けられる「生涯現役社会」の実現にはさらなる課題が残されています。島根労働局は、今後も企業への指導や助言を行いながら、高年齢者の雇用促進に向けた取り組みを進めていく予定です。
今回の調査結果は、高年齢者の労働市場への参加を促進し、地域経済の活性化にも寄与することが期待されています。企業においては、法令遵守のみならず、柔軟な働き方や再雇用制度の拡充、さらには社会貢献事業などを通じて、さらなる高齢者雇用の可能性を追求することが求められています。
⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ