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2024年10月12日

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島根県労働市場の現状 令和6年8月の求人倍率は1.43で低下傾向

しまね職業安定業務統計速報(令和6年8月)(島根労働局)

島根県は、日本海に面した中国地方に位置し、豊かな自然と歴史的な文化を誇る県です。島根の労働市場においては、人口減少が進む一方で、地域経済を支えるための労働力の確保が重要な課題となっています。この背景には、若年層の流出や高齢化があり、県内の各産業においては慢性的な人手不足が続いています。

令和6年8月時点の島根県における職業安定業務統計をもとに、求職・求人の動向を見ていきます。まず、有効求人倍率は1.43となっており、全国平均に比べやや低い水準にあります。これは、求人数に対して求職者数が依然として多いことを示しており、県内での雇用環境は決して好条件とは言えません。特に、パートタイムを含む職業紹介状況において、求職者数に対する新規求人の割合が減少しており、就職希望者が十分な選択肢を持てていない状況が続いています。

具体的な数値に目を向けると、月間有効求人数は令和6年8月時点で16,735人であり、前年同月と比較すると約4.9%の減少が見られます。一方、月間有効求職者数は11,726人となり、前年から0.5%の微増に留まっています。このため、有効求人倍率は前年からやや低下し、1.43となっています。これは島根県の労働市場が引き続き厳しい状況にあることを示しています。

地域別に見ていくと、県庁所在地である松江市の労働市場が他の地域と比べて比較的活発であり、求人数や求職者数ともに安定しています。しかし、隠岐の島や浜田市などの地方部においては、求人数の減少が顕著であり、特に隠岐の島では求人数が前年比で40.9%増加している一方、全体の求職者数が低水準で推移しているため、雇用環境が安定しない状況が続いています。これにより、隠岐の島では一部の職種で労働力の確保が難航していることが予想されます。

島根県における産業別の求人動向を詳しく見ると、医療・福祉分野が引き続き求人需要の高い分野となっています。高齢化が進む中で、介護や医療従事者の需要は今後も増加する見込みです。この分野では、パートタイムや非正規雇用の募集が多く、柔軟な働き方を求める労働者にとっては魅力的な求人が多く見られます。しかし、給与水準や労働条件に関しては課題も多く、これらの改善が求められています。

一方、製造業や建設業においては、技能を持った労働者の確保が難航しており、特に中小企業では新規採用が難しくなっています。こうした背景から、島根県では技術者育成や若年層の定住促進を目的とした施策が重要視されています。特に、地域ごとに異なる産業構造に対応した施策が求められており、例えば出雲市では伝統的な産業である製造業を中心に、新技術を取り入れた企業の育成や雇用創出が課題となっています。

また、島根県では、ハローワークインターネットサービスの機能拡充に伴い、オンラインでの求職登録や求人情報の閲覧が容易になってきています。これにより、県外からの移住希望者や二地域居住者が島根県内での職探しを行いやすくなっており、今後の労働市場の動向に注目が集まっています。しかし、実際の定住につなげるためには、就業支援や住宅支援など、移住者が安心して地域に根付くための総合的な支援策が不可欠です。

島根県の労働市場においては、今後も求人倍率の低下傾向が続くことが予想されます。これは、少子高齢化の進行や若年層の都市部への流出が主な原因となっており、特に技能職や専門職においては求人が充足しにくい状況です。こうした中で、企業側は労働力確保のために柔軟な雇用形態を提供する必要があるでしょう。また、労働条件の改善や、働き方改革を推進することで、求職者にとって魅力的な職場環境を整えることが重要です。

最後に、島根県の労働市場は、都市部とは異なる特性を持っており、地域ごとのニーズに応じた対策が必要です。特に、高齢化が進む地域では医療や福祉の求人が増加している一方、若年層の定住促進が課題となっています。県内企業は、これらの課題に対応するために、地域に根ざした雇用戦略を立て、労働力の安定確保を目指すべきです。

⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ

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