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2024年12月13日

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平成24年成年者調査 女性の就業意欲が24ポイント増加、育児支援制度の進展が鍵

第12回21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)の概況(厚労省)

平成24年から開始された「21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)」は、日本社会における少子化対策や働き方改革の基盤となる重要なデータを提供しています。この調査は、平成24年10月末時点で20~29歳だった男女を対象に、結婚、出産、就業状況などの変化を継続的に追跡し、12回目となる令和5年に実施されました。本調査の目的は、厚生労働行政における効果的な政策立案に役立つ資料を収集することにあります。

調査対象は、全国の8,347人(福島県の一部地域を除く)であり、調査開始時点で独身だった者のうち、令和5年までに結婚した割合は男女で大きな差が見られました。男性では38.2%、女性では55.4%が結婚しており、この数値は平成14年に実施された類似調査と比較すると若干の減少傾向にあります。さらに、結婚した男女の中で「子どもを持つ」と答えた割合は男性が68.1%、女性が74.0%であり、いずれも平成14年の調査結果より上昇しています。これは、近年の家族観や働き方改革の影響が少なからず関与していると考えられます。

また、女性の出産後の就業意欲については顕著な変化が見られます。「出産後も仕事を続けたい」と回答した女性の割合は、調査開始当初に比べ24ポイント増加し、41.7%に達しました。一方、「出産を機に離職する」と回答した割合は10.8ポイント低下しており、家庭と仕事を両立させる意識が高まっていることを示しています。この傾向を後押ししている要因として、育児休業制度の普及や男性の家事・育児参加が挙げられます。実際、調査結果によれば、夫が平日に家事や育児に積極的に関与する家庭では、妻が同一の職場で就業を継続する割合が高いことが確認されています。例えば、夫が平日に4時間以上の家事・育児を行う場合、妻の同一就業継続率は76.0%に達し、夫の関与が2時間未満の場合に比べ顕著に高い結果となりました。

一方、出産前後の女性の所得については、依然として課題が残されています。第1子の出生前後の平均所得額を比較すると、女性全体では出産1年後に大幅に低下する傾向が見られました。ただし、正規雇用の女性では平成24年成年者の方が平成14年成年者よりも所得減少の幅が小さいことが特徴的です。これは、近年の職場環境の改善や、育児支援制度の充実が影響している可能性があります。しかし、非正規雇用の女性では、出産後の所得低下が依然として深刻であり、出産前に比べて最大80%以上の減少が見られることから、より一層の対策が求められます。

さらに、調査は、就業や家庭環境に関する価値観の変化も明らかにしました。「家計に余裕を持つため」「経済的に自立するため」といった理由が、女性にとって働く動機として重要視されるようになっており、特に結婚後も就業を続ける女性ではその傾向が顕著です。一方、男性では「社会に貢献するため」「社会的責任を果たすため」といった社会的要素が働く理由として挙げられる割合が高く、男女で働く動機に若干の違いが見られます。

この調査結果は、家庭と仕事の両立を目指す社会的支援策の必要性を強調しています。特に、男性の家事・育児参加を促進する政策の推進が、家庭内の役割分担を改善し、女性が安心して働き続けられる環境づくりに寄与することが示唆されています。さらに、非正規雇用者に対する所得支援や職場復帰の支援制度の拡充も、少子化対策の一環として重要視されるべきです。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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