2024年10月5日
労務・人事ニュース
年次有給休暇取得率70%目標へ!10月の取得促進期間で企業に奨励
10月は「年次有給休暇取得促進期間」です(厚労省)
厚生労働省は、10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、企業や働く人々に対して年次有給休暇(年休)の取得を奨励する活動を行います。この取り組みは、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、年休取得率の向上を図ることを目的としています。令和6年8月2日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、令和10年までに年休の取得率を70%に引き上げることが政府の目標として掲げられています。しかし、令和4年の年休取得率は62.1%と過去最高ではあったものの、依然として目標には達していない状況です。
働く人々のワーク・ライフ・バランスを実現し、過労を防ぐためには、企業が自社の実情を理解し、年休を取得しやすい職場環境を整えることが重要です。具体的な取り組みとしては、計画的な年休の付与を可能にする「年休の計画的付与制度」を導入することや、従業員の多様な事情に対応するため、柔軟に年休を取得できる「時間単位年休」の活用が推奨されています。
「年休の計画的付与制度」は、労使協定を結ぶことにより、年休の日数のうち5日を除いた残りの日数を計画的に配分できる制度です。この制度により、企業は効率的に年休の取得を促し、業務運営の調整も行いやすくなります。また、「時間単位年休」は、年休を1日単位ではなく時間単位で取得できる制度で、こちらも労使協定を結ぶことにより、年5日の範囲内で導入が可能です。これにより、働く人々はより柔軟に休暇を取得しやすくなり、個別の事情に応じた休暇計画が立てやすくなります。
厚生労働省は、この「年次有給休暇取得促進期間」に合わせて、企業や働く人々に年休の取得を積極的に呼びかけるとともに、広報活動を強化しています。具体的な広報活動としては、特設サイトや厚生労働省の月刊誌「厚生労働」、そして「人事労務マガジン」での情報発信、さらにはインターネット広告や駅に掲示するポスター、都道府県労働局を通じた周知活動などが行われます。また、全国の労使団体にも協力を依頼し、広範な範囲での情報共有を図ります。
年休の取得は、単に働く人の休養を確保するだけでなく、労働生産性の向上にも寄与します。十分な休養をとることで、心身のリフレッシュが図られ、結果として仕事のパフォーマンスも向上することが期待されます。企業にとっても、従業員が健康的に働くことが長期的な業績向上につながるため、年休の取得促進は重要な施策と言えます。
日本においては、依然として年休を十分に取得できていない企業や業界が多く存在しています。特に中小企業では、人手不足や業務の過多により、従業員が年休を取得しにくい状況が続いています。こうした課題に対応するためにも、企業のトップマネジメントが年休取得の重要性を認識し、全社的な取り組みを推進することが求められています。
この促進期間中、各企業は自社の現状を分析し、年休取得率の向上に向けた具体的な計画を立てることが推奨されます。特に、従業員のニーズに応じた柔軟な休暇制度の導入や、部門ごとに取得率を可視化する取り組みが有効です。さらに、従業員一人ひとりが安心して休暇を取得できるよう、企業文化の見直しや、上司による積極的な休暇推奨も重要なポイントとなります。
厚生労働省は今後も、企業や労働者が年休を円滑に取得できる環境づくりを支援していく方針です。ワーク・ライフ・バランスの改善を通じて、過労死やメンタルヘルスの問題を未然に防ぐことができるよう、政府、企業、そして個々の働く人々が連携して取り組むことが求められています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ