2025年1月30日
労務・人事ニュース
年金改定率1.9%で引き上げ!令和7年度の基礎年金は月額69,308円に(令和7年度の年金額改定について)
令和7年度の年金額改定について(厚労省)
2025年1月24日、総務省より発表された「令和6年平均の全国消費者物価指数」を基に、令和7年度の年金額改定が行われることが発表されました。この改定は、年金額が前年度比1.9%引き上げられる内容です。物価や賃金の変動を反映する仕組みに基づき、年金額が毎年調整される制度は、現役世代の負担能力を考慮しつつ、公平で安定的な年金給付を実現することを目的としています。
具体的な改定額を見ていくと、国民年金における老齢基礎年金(満額、1人分)は、令和6年度の月額68,000円から1,308円増の69,308円となります。一方、厚生年金では夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額が、月額228,372円から232,784円へと4,412円の増加が見込まれます。この改定は、全国消費者物価指数や名目賃金変動率、マクロ経済スライドによる調整率を総合的に考慮して決定されています。
物価変動率が2.7%と上昇した一方、実質賃金変動率はマイナス0.4%を記録しました。このため、名目賃金変動率が2.3%と算出され、これを基準に改定が行われました。同時に、マクロ経済スライドによる調整率としてマイナス0.4%が適用され、最終的に改定率は1.9%に落ち着いています。この仕組みは、平成16年の年金制度改正時に導入されたもので、将来世代の年金給付水準を安定させるための重要な調整機構とされています。
年金額の改定だけでなく、加入者の収入やライフスタイルに応じた年金の見直しも行われています。具体的には、厚生年金期間が中心の男性の場合、令和7年度の月額年金は173,457円となり、3,234円の増加が見込まれます。同様に、国民年金期間が中心の男性では月額62,344円、厚生年金期間が中心の女性では月額132,117円と、それぞれの状況に応じた改定が実施されます。この改定は、各世代の年金受給状況を多様化し、現実的なライフプランを支援する狙いがあります。
さらに、令和7年度からは特別障害給付金や特別児童扶養手当などの手当も物価変動率を基に引き上げられます。例えば、特別障害給付金(1級)は令和6年度の55,350円から56,850円へ、特別児童扶養手当(1級)は55,350円から56,800円への改定となります。これにより、生活支援がより手厚くなることが期待されています。
国民年金保険料についても改定が行われます。平成16年の年金制度改正以来、段階的な引き上げが行われてきましたが、令和29年度に上限額である16,900円に達しました。以降は賃金の変動に応じて調整が行われていますが、令和8年度には実際の保険料額が月額17,920円に設定され、前年度から410円の増加となる見通しです。また、産前産後期間における保険料免除制度が導入され、育児世代への負担軽減が進められています。
在職老齢年金についても改定が予定されています。この制度では、賃金と年金の合計額が一定の基準額を超えると、賃金の増加に応じて年金の一部が支給停止されます。この基準額は、令和7年度には51万円へと引き上げられる見通しです。これにより、働きながら年金を受給する方々の収入がさらに安定することが期待されます。
これら一連の改定は、年金制度の透明性を向上させ、現役世代から高齢者までの幅広い世代が安心して生活できる仕組みを目指しています。少子高齢化が進む中、年金制度の安定性を維持するためには、制度の継続的な見直しが不可欠です。政府は今後も、年金制度の信頼性を高めるための取り組みを進めるとともに、国民に対して積極的に情報を提供していく方針を示しています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ