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2024年9月26日

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年間720時間の時間外労働規制導入!健康管理とワークライフバランスを守る新制度

労働基準関係法制研究会 第13回資料 資料1  労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇(厚労省)

企業の労働時間に関する規制や、ワークライフバランスの改善に向けた取り組みは、近年ますます注目されています。特に、法定労働時間や時間外労働の上限規制は、過労死防止や健康管理、ワークライフバランスの確保といった目的で設けられています。これにより、労働者が働きすぎることなく、仕事と生活を両立させやすくすることを目指しています。法定労働時間は、1日8時間、週40時間とされており、これを超える場合には時間外労働として規制が適用されます。時間外労働には、原則として月45時間、年間では360時間という上限が設けられており、これを超えた場合には企業に罰則が科されることがあります。

しかし、一部の業種では例外が設けられており、年間720時間、月100時間未満、複数月平均80時間という条件での時間外労働が許容されています。この特例措置は、医療従事者や自動車運転手など、業務の特性上、どうしても時間外労働が避けられない職種に対して適用されています。しかし、これらの業種においても、労働者の健康を確保するための取り組みが必要とされています。例えば、労働者が過労死しないよう、時間外労働の状況を公開するなどの情報開示が企業に求められることもあります。

また、テレワークの普及に伴い、労働時間の管理方法も大きく変わってきています。特に、テレワークを導入している企業では、従業員が自宅で柔軟に働けるよう、フレックスタイム制度やみなし労働時間制といった制度の活用が進んでいます。これにより、従業員は自分のペースで働くことができる一方で、労働時間の管理が曖昧になりやすく、過労のリスクが高まるという課題もあります。このため、テレワークの導入に際しては、労働時間の管理を厳格に行うか、それとも労働者の裁量に任せるかのバランスを取ることが求められています。

さらに、労働時間に関する情報を企業が積極的に開示することが推奨されています。特に、求職者が企業を選ぶ際には、平均残業時間や年次有給休暇の取得率といった情報が重要視される傾向にあります。こうした情報を公開することで、企業間の競争が促され、労働環境の改善が進むと考えられています。中小企業においては、ウェブサイトを持っていない場合もあるため、別の方法で情報を開示することも検討されています。

労働時間の上限規制に加えて、休日や休憩時間の確保も労働者の健康に大きく寄与しています。例えば、週に1日は必ず休むことが求められており、4週間に4日の休暇を取ることが義務付けられています。このような休日制度は、労働者が連続勤務による疲労を回復するために必要な時間を確保するためのものです。しかし、現行の法定休日制度では、企業が労働者に連続勤務をさせることが可能であり、これが過労や労働災害の原因となることが懸念されています。このため、連続勤務の制限を強化し、週に1日以上の休暇を義務付けることが求められています。

また、勤務間インターバル制度も、労働者の健康を守るための重要な取り組みです。この制度は、労働者が1日の勤務を終えた後、次の勤務までに一定の休息時間を確保することを目的としています。現行の努力義務規定では、企業が労働者に11時間の休息を与えることが推奨されていますが、義務化には至っていません。この制度の導入率は6%と低く、多くの企業が導入に消極的であるため、今後は段階的に義務化を進めることが検討されています。

年次有給休暇の取得率向上も、働き方改革の一環として重要視されています。特に、年次有給休暇の計画的付与を促進することで、労働者が計画的に休暇を取得できるようにする取り組みが進められています。労働者が年次有給休暇を取得しやすくするためには、残日数の可視化や、取得時期の指定を企業がサポートすることが効果的とされています。現在、日本では年次有給休暇の取得率が低いため、取得率向上のためのさらなる施策が求められています。

企業における割増賃金制度もまた、長時間労働の抑制に向けた取り組みとして重要です。割増賃金は、時間外労働や休日労働、深夜労働を行った場合に支払われるものであり、これにより労働者の負担が軽減されることが期待されています。しかし、労働者が割増賃金を目当てに長時間労働を行うケースもあり、これが非生産的な労働につながることが問題視されています。このため、労働時間の上限規制を強化し、割増賃金制度の趣旨に沿った形での運用が求められています。

さらに、副業や兼業を行う労働者に対する労働時間の管理も重要な課題です。近年、副業や兼業を認める企業が増えており、労働者が複数の仕事を掛け持ちするケースが増加しています。しかし、副業や兼業による労働時間の管理は煩雑であり、企業が適切に把握することが難しい状況です。このため、労働者が自ら労働時間を申告する制度や、労働時間の管理を支援するシステムの導入が検討されています。

このように、企業における労働時間や休日、休憩、年次有給休暇の管理は、労働者の健康とワークライフバランスを守るために非常に重要な要素となっています。企業が積極的にこれらの取り組みを進めることで、労働環境の改善が進み、結果として労働者の生産性や満足度が向上することが期待されています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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