2025年2月11日
労務・人事ニュース
広島県の有効求人倍率1.38倍、2カ月連続低下—企業の採用戦略をどう見直すべきか?
管内の雇用情勢(令和6年12月分及び令和6年分)(広島労働局)
広島労働局が発表した最新の雇用情勢によると、広島県内の有効求人倍率は1.38倍となり、全国平均の1.25倍を上回っています。ただし、前月比では0.03ポイントの低下となり、2カ月連続で下落傾向にあります。この数字は、求人数が求職者数を上回る状況が続いているものの、その勢いが弱まりつつあることを示しています。企業の採用活動においては、求職者確保が引き続き課題となりそうです。
新規求人倍率は2.55倍で、前月比0.09ポイントの上昇となりました。これは3カ月ぶりの増加であり、企業が新たな人材を求める動きが活発化していることを意味します。一方で、有効求人数は62,988人と2カ月連続で減少し、前月比▲2.2%(▲1,442人)となりました。一方、有効求職者数は45,549人で、ほぼ横ばい(▲0.1%)の動きを見せています。
産業別に見ると、医療・福祉分野の新規求人は5,364人で前年同月比1.2%増と3カ月連続の増加となりました。これは、医療従事者の人手不足が続いていることを示しています。一方、製造業の新規求人数は2,089人で、前年同月比▲18.6%(▲476人)となり、16カ月連続の減少傾向が続いています。特に広島県内の自動車産業や機械製造業の縮小が影響している可能性があります。
また、宿泊業・飲食サービス業は674人(前年同月比▲27.9%)、生活関連サービス業・娯楽業は825人(前年同月比▲16.4%)と、大幅な減少が見られます。これは、コロナ禍の影響が続く中で、需要回復が十分に進んでいないことを示唆しています。
地域別では、有効求人倍率が最も高かったのは広島市内で1.30倍、最も低かったのは可部地域で0.57倍となっています。特に可部や廿日市では、求人数の減少が目立っており、地域間格差が拡大しています。福山市や三原市など東部地域は1.44倍と比較的安定しているものの、求職者数の増加により倍率はやや低下傾向にあります。
企業の採用戦略としては、競争率の高い職種においては給与や福利厚生の見直しが求められます。また、リモートワークの導入や柔軟な勤務形態の導入も、求職者の関心を引くための有効な手段となるでしょう。特に若年層や女性の労働市場参加を促進する施策が鍵となると考えられます。
広島県全体の雇用情勢としては、引き続き求人が求職を上回る状況が続いているものの、業種や地域によるばらつきが大きく、採用活動においては細かな市場分析が必要です。物価上昇や景気動向の影響も見極めつつ、適切な人材確保の戦略を立てることが求められます。
⇒ 詳しくは広島労働局のWEBサイトへ