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2025年2月27日

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広島電鉄グループが公共交通を刷新!MOBIRY DAYSとICOCA端末で利便性向上へ

広島電鉄グループ申請の道路運送高度化実施計画を認定いたしました(国交省)

広島電鉄グループが推進する「道路運送高度化実施計画」が、令和7年2月10日付で国土交通大臣の認定を受けた。この計画は、地域交通の「リ・デザイン(再構築)」を目指し、AIオンデマンド交通やキャッシュレス決済の普及、EVバスの導入などを通じて、利便性や速達性、快適性を向上させることを目的としている。改正地域交通法の施行によって、このような事業がより広範囲に展開可能となり、公共交通機関の利用促進と持続可能な交通ネットワークの構築が期待されている。

本計画の実施主体には、広島電鉄をはじめ、エイチ・ディー西広島、芸陽バス、備北交通が名を連ね、広島県内の広範囲な地域を対象に事業が展開される。具体的には、広島市、呉市、竹原市、三原市、三次市、庄原市、東広島市、廿日市市、安芸高田市、府中町、海田町、熊野町、坂町、安芸太田町、北広島町、世羅町が対象地域となる。これにより、県内の多くの住民や通勤・通学者が、より便利な交通サービスを享受できるようになる。

計画の主な取り組みとしては、柔軟な運賃施策が可能となるABT(Account-Based Ticketing)方式を採用した乗車券システム「MOBIRY DAYS」の導入が挙げられる。これにより、利用者は従来のICカードだけでなく、スマートフォンやQRコードを活用してスムーズに乗車できるようになる。また、簡易型ICOCA端末の導入も進められ、ICOCAに対応していない交通系ICカードの利用が可能となることで、さらなる利便性向上が期待される。

事業費については、「MOBIRY DAYS」の導入に約169.7億円が計上され、そのうち約84.8億円が財政投融資の活用予定となっている。また、ICOCA簡易型端末の導入には約22.4億円が投入され、そのうち約11.2億円が財政投融資により支援される予定だ。計画の実施期間は2024年4月から2025年3月までの1年間とされ、この間に各システムの整備が進められる。

導入が予定されている路線は広島電鉄グループの全路線を網羅し、導入台数はMOBIRY DAYS用として692台、ICOCA簡易型端末用として675台が整備される予定だ。ただし、高速バスの松江線および米子線については、今回の計画の対象外となっている。

この計画が実現することで、利用者にとっては、柔軟で細やかな運賃サービスの提供、全扉乗降の導入、定期券購入の利便性向上など、多くのメリットが生まれる。特に、従来の運賃支払い方法よりも迅速かつスムーズな決済が可能となり、混雑時の乗降がスピーディーに行われることで、バスの運行効率も向上すると期待されている。

また、事業者にとっても、システムの低廉化によるコスト削減や、窓口業務の縮小による業務効率化などの利点がある。これにより、運行事業者の経営改善にもつながり、持続可能な公共交通の確立に寄与することが見込まれる。

この「道路運送高度化実施計画」は、令和5年11月に認定された茨城交通株式会社や伊予鉄グループの計画に続く3件目の認定事例となる。国土交通省では、今後も全国の地域交通の再構築を支援し、公共交通の活性化を図る方針を示している。今回の広島電鉄グループの計画が成功すれば、他の地域でも同様の取り組みが加速し、日本全国で持続可能な交通システムの構築が進むことが期待される。

現在、日本各地で公共交通の利用者減少や運行コストの増加といった課題が顕在化している。特に地方都市においては、バスや鉄道の運行維持が難しくなっており、新たな交通手段の導入や支援策が求められている。こうした状況の中で、AI技術を活用したオンデマンド交通の導入や、キャッシュレス決済の普及は、公共交通の利便性を向上させるだけでなく、運営側の負担軽減にも寄与する。

広島電鉄グループの取り組みは、単なる交通機関の高度化にとどまらず、地域住民の生活の質を向上させ、より快適な移動手段を提供することを目的としている。今後の展開として、地域の交通ネットワークを強化し、高齢者や学生など、公共交通に依存する層にとってより使いやすい環境を整えることが求められる。また、MaaS(Mobility as a Service)などの新たな交通システムと連携し、地域交通の利便性を最大限に引き出すことも課題となるだろう。

この計画は、単なる技術導入にとどまらず、地域交通全体の改善を目指した包括的な施策であり、今後の公共交通の在り方を示す重要なモデルケースとなることが期待される。成功すれば、他の地方都市においても同様のシステムが導入され、全国的に持続可能な公共交通ネットワークの整備が進むことになるだろう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ