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2025年3月11日

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建設業の平均月給は453,559円!前年比5.0%増で賃金水準の上昇が続く(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)建設業

令和6年の毎月勤労統計調査によると、建設業の平均月間現金給与額は453,559円であり、前年比5.0%の増加が確認されている。この増加率は、全産業平均の2.8%を上回っており、建設業界が堅調な賃金上昇を続けていることを示している。特に、基本給の増加が顕著であり、賃金の安定性が高まっている点が特徴的である。

給与の内訳を詳しく見ると、基本給にあたる「きまって支給される給与」は362,599円で、前年比2.8%の増加が見られる。これは、建設業界の人材不足が背景にあり、企業が労働者を確保するために賃金水準を引き上げていることを示唆している。また、時間外手当を含む所定外給与は338,747円で、前年比3.3%の増加となった。これにより、業務量の増加や長時間労働が依然として業界の課題であることが浮かび上がる。

一方、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスに該当する部分は90,960円で、前年比14.3%の増加が記録されている。これは、企業の業績が回復し、賞与の支給額が増えたことを示している。特に、公共事業の増加や都市開発プロジェクトの拡大が、建設業界全体の収益を押し上げた可能性がある。基本給の上昇とボーナスの増加が同時に進んでいるため、建設業は他の業界に比べて安定した給与環境を提供できている点が採用活動の強みとなる。

他業界と比較すると、建設業の給与水準は製造業や鉱業・採石業よりも高い水準を維持している。例えば、鉱業・採石業の平均給与は411,892円、製造業は412,916円であり、建設業の453,559円と比較すると、明らかに高い傾向が見られる。特に基本給の増加率が他業界に比べて高い点が特徴的であり、これは長期的な雇用安定性を求める求職者にとって魅力的な要素となる。

採用担当者にとって重要なのは、給与の増加がどのように人材確保に影響を与えるかである。建設業界は慢性的な人手不足が続いており、特に技能労働者の確保が大きな課題となっている。そのため、給与水準の向上だけでなく、労働環境の整備や福利厚生の充実が求められる。給与データを分析すると、時間外手当の増加が見られるため、依然として長時間労働が課題であることがわかる。企業は、給与水準の向上とともに、働きやすい環境を整えることで、より多くの求職者を惹きつけることができる。

今後の課題として、建設業の給与水準の維持とさらなる改善が挙げられる。公共事業や民間の建設プロジェクトが活発なうちは、給与の増加傾向が続くと考えられるが、景気変動の影響を受けやすいため、企業は柔軟な報酬制度を構築することが求められる。特に、ボーナスの増加が業績に左右される要素であるため、固定給の引き上げが今後の安定的な人材確保につながる可能性が高い。

企業が魅力的な雇用条件を提示するためには、給与だけでなく、労働環境の改善も重要である。例えば、長時間労働の是正や福利厚生の充実などが求められる。時間外手当の増加は、業務の繁忙さを反映しているが、働き方改革の推進により、今後は労働時間の適正化が進む可能性がある。採用活動では、給与の高さだけでなく、働きやすさやキャリアパスの明確化も求職者にとって重要な要素となる。

建設業界は、日本のインフラを支える重要な業種であり、高い給与水準を維持しながらも、労働力確保のための課題を抱えている。今後の採用活動では、給与の安定性と働きやすい環境を前面に押し出すことで、求職者の関心を引くことができる。特に、若年層の確保が課題となる中で、給与水準の高さや昇給の可能性を強調することで、長期的な雇用につなげることが求められる。

このように、建設業の給与動向を分析すると、基本給の増加、時間外手当の増加、ボーナスの増加という3つのトレンドが浮かび上がってくる。採用担当者にとっては、給与総額の増加を強調しつつ、労働環境の改善やキャリアパスの明確化をどのように進めるかが重要なポイントとなる。業界の特性を踏まえた柔軟な採用戦略を展開することで、優秀な人材の確保につながる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ