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2025年3月12日

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建設業の平均月間実労働時間は161.5時間!前年比1.7時間減で労働環境はどう変化したのか(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)建設業

令和6年の毎月勤労統計調査によると、建設業の平均月間実労働時間は161.5時間で、前年比1.7時間の減少が確認された。この減少は、政府の「働き方改革」の影響や、建設業界における労働環境改善の取り組みが進んでいることを示している。特に、公共工事や民間の大規模開発において、週休2日制の導入が進んでいることが、労働時間短縮の要因として考えられる。

内訳を詳しく見ると、所定内労働時間は148.8時間で、前年比1.2時間の減少となった。この減少は、建設業界における長時間労働の是正が進んでいることを示している。特に、建設現場では、従来は早朝から夕方までの長時間勤務が一般的だったが、現在ではシフト制の導入や、作業の効率化が進んでいることで、勤務時間の短縮が実現しつつある。さらに、建設業におけるデジタル技術の導入や、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)技術の活用により、設計や管理業務の効率化が進み、所定内労働時間の減少につながっていると考えられる。

一方、所定外労働時間(残業時間)は12.7時間で、前年比7.4%の大幅な減少が見られた。このデータから、建設業界では残業時間の削減が加速していることが分かる。特に、国土交通省が推進する「建設業働き方改革」の影響で、労働時間の適正化が求められており、企業が積極的に長時間労働の抑制に取り組んでいることが伺える。また、建設現場における安全管理の強化も、残業時間の削減に寄与している。長時間労働が事故のリスクを高めることから、労働時間の適正化が厳格に求められるようになっている。

月間出勤日数については、19.8日となり、前年より0.3日減少している。この減少は、週休2日制の浸透が進んでいることを示唆している。特に、大手ゼネコンや公共工事を受注する企業では、週休2日制の導入を進めることで、従業員のワークライフバランスの改善を図っている。一方で、中小規模の建設会社では、人手不足の影響で十分な休日日数を確保できていないケースもあり、業界全体での労働環境の改善が引き続き求められている。

企業の採用担当者にとって、このデータが示すポイントは、労働時間の短縮が進む中で、業務の効率化と生産性向上をどのように両立させるかという点にある。建設業は、専門技術が求められる職種が多く、熟練労働者の確保が大きな課題となっている。特に、新たな建設技術の導入が進む中で、従業員のスキルアップを支援しながら、労働時間を適正化する取り組みが重要となる。

また、今後の課題として、労働時間の短縮と生産性向上の両立が求められる。建設業は、プロジェクトごとに業務の負荷が変動しやすく、計画的な労働時間管理が求められる。しかし、施工の遅れを防ぐために、依然として繁忙期には長時間労働が発生しやすい現状がある。そのため、柔軟なシフト制度の導入や、最新技術の活用による業務負担の軽減が重要な課題となる。特に、ドローンを活用した測量や、AIを活用した工程管理の導入により、作業の効率化が進められている。

今後の展望として、建設業はインフラ整備や都市開発の需要が高い業界であり、今後も安定した成長が見込まれる。しかし、労働人口の減少に伴い、技能労働者の確保が一層難しくなると予測される。この課題に対応するためには、若手労働者の採用強化や、外国人労働者の活用、建設ロボットの導入などが検討されている。企業は、労働環境の改善とともに、持続可能な施工体制を構築することが求められる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ