2024年11月14日
労務・人事ニュース
建設業・製造業が伸びる一方、宿泊業は21%減少!島根県の雇用動向
島根の雇用情勢(令和6年9月分)(島根労働局)
現在の日本の労働市場は、様々な要因が影響し、地域ごとに異なる状況が見られます。特に地方においては、求人倍率や求職者数の動向が全国平均と異なる傾向を示しています。島根県の例を挙げると、2024年9月の有効求人倍率は1.44倍となり、全国平均の1.24倍を上回る結果となりました。これは前月の1.43倍に比べても若干の改善が見られ、求人状況は比較的安定していることが分かります。
島根県における月間有効求人数は16,634人であり、前年同月比で6.8%減少しています。また、月間有効求職者数は11,591人となり、こちらも前年同月比で1.9%減少しました。この結果、求人倍率が前年同月に比べ0.07ポイント低下したことから、求人数の減少が求職者数の減少を上回っていることが伺えます。特に、9月の新規求人数は5,934人で、前年同月に比べ4.9%減少しており、地方の雇用状況に厳しい側面が浮き彫りとなっています。
産業別に見ると、建設業や製造業、教育・学習支援業では新規求人が増加している一方で、卸売業・小売業や宿泊業、医療・福祉、サービス業では減少傾向が続いています。特に建設業では12.2%、製造業では19.1%の増加が見られたものの、宿泊業や飲食サービス業では21.2%、医療・福祉では7.9%の減少が確認されています。このように、産業によって求人数の増減が顕著に異なることが分かります。
また、正社員の有効求人倍率は1.30倍で、前年同月とほぼ同水準でした。正社員の求人数は全体の求人数の50.7%を占めており、半数以上が正社員募集であることが分かります。さらに、正社員の求人数は8,426人であり、これも前年とほぼ同じ水準です。これは、正社員としての雇用機会が依然として安定している一方で、パートタイムや派遣労働者を求める求人も増加傾向にあることを示しています。
就職件数は875件で、前年同月比で8.4%減少し、就職率は38.9%となりました。これは、就職率が前年同月に比べ0.1ポイント低下したことを意味します。就職状況は厳しさを増しており、特に新規求職者数が2,249人と、前年同月比で8.1%減少したことが要因の一つと考えられます。さらに、雇用保険被保険者数は199,087人で、前年同月比で0.7%減少していることからも、雇用全体の安定が揺らぎつつあることが分かります。
雇用調整助成金の申請も増加しており、9月の計画受理件数は前年同月比で250%増加の21件、対象労働者数は51.1%増加の597人に達しました。これは、企業が従業員の休業を余儀なくされる状況が続いていることを反映しており、企業側も雇用維持に対する支援を必要としていることが浮かび上がっています。
一方で、離職者数は47人で、前年同月に比べ39.0%減少しました。離職者数が減少していることは、企業が解雇を抑制する努力を続けていることを示していますが、一部の産業では依然として厳しい状況が続いています。例えば、卸売業・小売業では19人、製造業では11人、医療・福祉では6人が離職しており、これらの産業では今後もさらなる支援が必要とされています。
島根県の雇用情勢全体としては、改善の兆しが見えつつも、特定の産業や地域では依然として厳しい状況が続いており、今後の動向が注目されます。特に、正社員の求人数が安定している一方で、パートタイムや派遣労働者を含む求人が増加していることは、非正規雇用が増加していることを示唆しています。このような雇用の変化に対応するためには、企業側も柔軟な雇用対策が求められるでしょう。
最終的には、地域ごとの特性に応じた雇用対策を講じることで、労働市場の活性化を図る必要があります。例えば、特定の産業に特化した求人支援や、働き方改革に対応した柔軟な雇用形態の推進などが考えられます。また、若年層や高齢者の雇用支援も引き続き重要な課題となるでしょう。
⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ