2025年3月13日
労務・人事ニュース
建設業界の人手不足が深刻化!全国で0.6%の労働力不足、採用戦略の見直しが必須(建設労働需給調査結果 令和7年1月分調査)
建設労働需給調査結果(令和7年1月分調査)について(国交省)
建設業界における人手不足の問題は、全国的に深刻化しており、特に特定の職種ではその影響が顕著に表れています。国土交通省の調査結果によると、全国の建設技能労働者の過不足率は0.6%の不足となっており、これは前年同月の1.6%の不足と比較して1.0ポイント改善されているものの、依然として人材の確保が課題となっています。特に東北地域においては、過去数カ月の間で不足幅の縮小が見られましたが、職種によっては依然として需要と供給のバランスが取れていない状況が続いています。
建設業界の労働需給は職種ごとに異なる動きを見せており、例えば、左官工は比較的供給が追いついている一方で、電工や配管工は過剰となる傾向が見られます。このように職種ごとの需給バランスに差があることから、労働者の確保や育成に向けた取り組みが求められています。また、地域ごとの違いも顕著で、北陸地域では前年と比べ1.9ポイント増加しており、特に人材不足が目立つ一方で、中国地域では2.3ポイントの減少が見られ、需給バランスの改善が進んでいます。
建設労働者の確保に関する今後の見通しについては、3月および4月の時点で全国的に「普通」との予測が示されており、極端な不足や過剰のリスクは低いと考えられています。しかし、長期的な視点で見ると、少子高齢化の進行により、将来的な労働力の確保がますます困難になることが予想されます。そのため、建設業界全体での人材確保策や技能継承の取り組みが不可欠となっています。
新規募集に関しては、6職種および8職種のいずれにおいても前年同月を下回る不足率となっており、企業による採用活動がより難しくなっている状況がうかがえます。特に熟練技能者の確保は難しく、新規の労働力を確保するためには、業界全体での魅力向上や待遇改善が求められます。例えば、給与水準の見直しや労働環境の改善、技能研修の充実などの施策が重要になってきます。
地域ごとの状況を見ると、北海道や東北地域では比較的バランスが取れているものの、中部や九州などの地域では依然として人手不足が課題となっています。今後の施策としては、地域ごとに異なる需給バランスを考慮し、適切な人材配置や育成プログラムを導入することが求められます。また、都市部と地方部での需給ギャップを解消するために、労働者の移動支援策やリモートワークの導入など、新たな働き方の推進も検討する必要があります。
建設労働者の過不足率の推移を見ると、季節による変動が大きく、例えば冬季には建設業の需要が減少するため、一時的に労働者が過剰になる傾向があります。一方で、春から夏にかけては建設工事が本格化し、人手不足が深刻化することが予想されます。このため、労働需給のバランスを取るためには、年間を通じた適切な計画と労働力の確保が不可欠です。
建設業界の人材確保に向けた取り組みとして、企業の採用戦略の見直しが求められています。例えば、企業の魅力を高めるために、社内研修の充実やキャリアアップの機会を提供することが有効です。また、若年層の労働者を確保するためには、建設業界のイメージ向上も重要なポイントとなります。現場での安全対策を強化し、働きやすい環境を整えることで、若い世代の関心を引き付けることができます。
さらに、技術革新を活用した人材不足の解決策も注目されています。例えば、建設現場でのロボット技術の導入やデジタル化の推進によって、一部の作業を自動化することで、労働力不足の問題を軽減することが可能です。また、ICT(情報通信技術)を活用した遠隔操作や現場管理の効率化も、人手不足対策として有効な手段となります。
企業の採用担当者にとっては、こうした業界全体の動向を踏まえた上で、適切な人材確保の戦略を立てることが求められます。特に、競争が激化する中で優秀な人材を確保するためには、採用活動の見直しや、待遇の向上が不可欠です。また、外国人労働者の活用も一つの解決策として考えられており、今後は技能実習制度の改善や受け入れ体制の強化が求められるでしょう。
建設業界における労働力の確保は、単なる採用活動にとどまらず、業界全体の構造改革にも関わる重要な課題です。今後の動向を注視しながら、企業がどのように人材確保に取り組むかが、業界の発展に大きく影響を与えることになるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ