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2025年2月15日

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建設業界の最新受注額1兆9,091億円!民間工事12.1%増の好調な背景とは?(令和6年12月)

令和6年12月の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)結果

令和6年12月の建設工事受注動態統計(大手50社調査)が公表され、建設業界の動向が明らかになった。国内外の受注総額は1兆9,091億円に達し、前年同月比で8.1%の増加を記録した。この増加は、民間工事の伸びが大きく影響しており、特に不動産業やサービス業、電気・ガス・熱供給・水道業の分野での発注が活発だった。一方で、公共工事の受注は前年同月比13.7%の減少となり、2か月連続の減少傾向を示した。

民間工事の受注額は1兆4,266億円で、前年同月比12.1%増となった。製造業からの受注は35.2%の大幅減少となったが、非製造業は54.4%の大幅増加を記録した。不動産業やサービス業の発注が堅調に推移し、特に建築工事や土木工事の需要が伸びた。建築工事では住宅、事務所・庁舎、倉庫・流通施設の発注が増加し、工場・発電所、宿泊施設、鉄道などの分野では減少が見られた。

一方、公共工事の受注額は3,534億円となり、前年同月比13.7%の減少を記録した。国の機関による発注は2.8%増加したものの、地方の機関からの発注は32.5%減少し、特に市区町村や都道府県、地方公営企業からの発注が落ち込んだ。工事の種類別では、道路、上水道・下水道の工事が増加したが、医療・福祉施設、治山・治水などの分野は減少傾向を示した。

海外工事の受注額は803億円で、前年同月比73.4%増と大きく伸びた。これは、前月の減少から一転して、海外案件の受注が増加したことを示している。海外市場における日本企業の受注機会が拡大している可能性がある。

受注の内訳を見ると、業種別では不動産業が前年比41.6%増と大幅に伸び、サービス業も185.5%増と著しい成長を見せた。特に、住宅や流通施設、事務所関連の工事が増えており、都市部での再開発や商業施設の拡大が影響を与えている。一方で、製造業の受注が35.2%減、情報通信業が35.3%減と振るわなかった。金融業・保険業からの発注も48.1%の減少となっており、産業ごとに受注の増減が大きく異なっている。

建築・土木の工事別では、住宅や事務所の建築工事が好調で、特に都市部の開発が活発であることがうかがえる。土木工事では、道路工事や上水道・下水道工事が増加し、インフラ整備の需要が継続している。しかし、医療・福祉施設や治山・治水の工事は減少しており、これらの分野への投資が縮小していることがわかる。

施工高(完成した工事の総額)を見ても、12月の施工高は1兆3,818億円で、前年同月比8.6%増となった。これにより、手持ち工事高(未完了工事の総額)は23兆4,464億円に達し、前年同月比7.5%増となった。施工高の増加は、受注の増加がそのまま反映されており、特に都市部の建設プロジェクトが進行中であることを示している。

地域別の受注状況を見ると、関東地域の受注が大きく伸びており、特に東京都では2,783億円の受注額を記録した。その他、関西地方や中部地方でも一定の増加が見られたが、東北や九州・沖縄では減少傾向にある。これは、地域ごとの経済活動や開発計画の違いが影響していると考えられる。

この統計結果から、建設業界においては民間工事の活発化が進んでいる一方で、公共工事の減少が課題となっていることがわかる。特に地方自治体の発注が減少しており、インフラ整備の停滞が懸念される。一方で、海外市場での受注が増加していることは、日本の建設業界にとって新たな成長機会となる可能性がある。

建設業界の今後の課題としては、公共工事の受注減少に対する対応策の検討が求められる。地方自治体の財政状況や政策の影響を受けるため、国による公共投資の拡充や補助金制度の活用が必要とされる。また、海外市場のさらなる開拓も重要であり、アジアや中東地域などでのプロジェクト獲得が鍵を握る。

総じて、令和6年12月の建設工事受注動態統計は、民間工事の増加による市場の活性化が確認された一方で、公共工事の減少や地域間の格差が課題として浮き彫りになった。今後の建設業界は、民間の需要をさらに伸ばすとともに、公共工事の減少を補うための施策を検討する必要があるだろう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ