2024年12月26日
労務・人事ニュース
建設業界改革が本格始動!公共工事の品質向上と担い手確保に向けた新指針
「品確法基本方針」及び「入契法適正化指針」の変更について閣議決定 ~建設業が「地域の守り手」等の役割を果たし続けられるよう、公共工事の発注者等が講ずべき具体的な措置を新たに規定~(国交省)
令和6年12月13日、不動産・建設経済局建設業課より「品確法基本方針」および「入契法適正化指針」の変更が閣議決定されました。この変更は、建設業が地域社会での「守り手」としての役割を持続的に果たせるようにするため、公共工事の発注者や受注者に求められる具体的な措置を新たに定めたものです。この背景には、今年6月に成立した「第三次・担い手3法」を踏まえた施策の具体化があります。新たな指針に基づき、建設業の担い手確保や生産性向上、地域対応力の強化が推進されることとなります。
まず、「品確法基本方針」の変更点として、公共工事の発注者が講ずべき措置がいくつか新たに規定されました。その中でも特筆すべきは、週休2日制の工事推進や時間外労働規制を考慮した工期設定、猛暑日の考慮が挙げられます。これにより、労働者の働きやすい環境を整えると同時に、過剰な負担を抑えることが目指されています。また、施工時期の平準化を進めるために関係部局間の連携が強化されるほか、地域の実情を反映した適切な入札条件や工事規模の設定も導入されます。これらの措置は、地域の実態に即した形で公共工事の質を向上させるための重要な取り組みです。
一方で、公共工事の受注者に関しても、新たな事項が規定されました。特に注目されるのが、受注者の能力や経験に応じた適切な処遇を確保する点です。これは、経験豊富な技術者や専門家がその能力を最大限に発揮できるようにするための仕組みです。また、生産性向上を目的とした情報通信技術(ICT)の活用が推奨されており、これにより現場管理の効率化が期待されます。これらの施策は、建設業界全体の競争力を高めるために不可欠な要素です。
さらに、「入契法適正化指針」の変更点についても、重要な改定が行われました。発注者に求められる措置として、資材価格高騰時における誠実な契約変更協議の実施やスライド条項の適切な運用が規定されました。これにより、予期せぬコスト変動に柔軟に対応できる仕組みが整備され、発注者と受注者の双方にとって安定的な契約関係が維持されることが期待されます。また、現場管理におけるICT活用の推進や技術者の専任・兼任状況の確認が明記されたことにより、効率的で透明性の高い現場運営が求められるようになります。加えて、入札契約情報のインターネット公表を原則化することで、入札プロセスの透明性が一層強化されます。
今回の基本方針および指針の変更は、建設業界全体の課題解決に向けた大きな一歩といえます。特に、週休2日制の導入やICTの積極的な活用は、労働環境改善と技術革新の両面で業界に大きな影響を与えるでしょう。また、地域の実情に応じた施策が導入されることで、各地域の建設業が地域社会に貢献しやすい体制が整備されることが期待されます。
建設業は、地域インフラの維持や防災対策の最前線で活動する重要な産業です。今回の改定が実効性を持つためには、発注者や受注者だけでなく、地域住民や関連団体の理解と協力が欠かせません。また、これらの施策が現場レベルで適切に運用されることが重要であり、各関係者がその役割を果たすことが求められます。
本改定に関心を持つ事業者や地域関係者は、具体的な内容を十分に理解し、自社の取り組みや地域の課題解決に活用することが推奨されます。この取り組みを通じて、建設業界全体の持続可能な発展と地域社会への貢献が一層促進されることが期待されています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ