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2025年3月3日

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後部座席のシートベルト着用率わずか45.5%(令和6年10月7日〜11月8日調査)

シートベルトの着用状況について 令和6年10月7日(月)から11月8日(金)(警察庁)

警察庁と一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が共同で実施した令和6年のシートベルト着用状況に関する全国調査の結果が明らかになった。この調査は、2024年10月7日から11月8日までの約1か月間にわたり、全国の一般道路および高速道路等で実施された。調査対象は、運転者、助手席同乗者、後部座席同乗者に分けられ、それぞれのシートベルト着用率が詳細に分析された。

調査の結果、一般道路における運転者のシートベルト着用率は99.2%と高い水準を維持していたが、助手席同乗者の着用率は96.8%とやや低く、後部座席同乗者に至っては45.5%と大きく下回る結果となった。一方、高速道路等においては、運転者の着用率は99.6%、助手席同乗者は98.8%と非常に高かったが、後部座席同乗者の着用率は79.7%にとどまった。

これらのデータを分析すると、運転者や助手席同乗者のシートベルト着用はほぼ習慣化されているものの、後部座席では依然として着用が徹底されていないことが明らかになった。特に一般道路では半数以上の後部座席同乗者がシートベルトを着用していない状況であり、万が一の事故の際に重大な被害を受けるリスクが高いと考えられる。これは、後部座席のシートベルト着用の重要性が十分に認識されていないことや、後部座席ではシートベルトを締める習慣が形成されていないことが主な要因と考えられる。

都道府県別のデータをみると、一部の地域では後部座席同乗者の着用率が50%を超えるものの、多くの地域では40%台、あるいはそれ以下にとどまっている。また、一般道路と高速道路等の間で着用率の差が顕著に見られ、高速道路等では比較的高い着用率が維持されているが、一般道路では依然として課題が残ることが確認された。この背景には、高速道路等では取り締まりの厳格化や啓発活動が積極的に行われていること、また、高速道路の特性上、事故の際の危険性が高いと認識されていることが影響していると考えられる。

警察庁では、今後の対策として、後部座席を含めた全ての座席でのシートベルト着用を徹底させるための広報・啓発活動の強化を進める方針を打ち出している。特に、衝突実験映像などを活用し、シートベルトを着用することによる被害軽減効果を視覚的に伝える交通安全教育の推進を計画している。また、関係機関や団体と連携しながら、シートベルト着用の義務を改めて周知する取り組みを強化する予定だ。

さらに、交通指導取締りの強化も重要な施策の一つとされており、シートベルト未着用者に対する取り締まりを強化する方針が示された。これにより、後部座席における着用率の向上を目指し、交通事故による死傷者の減少を図ることが目的とされている。

企業の採用担当者にとっても、このような調査結果は関心の高いテーマの一つである。特に、運送業界や営業職を抱える企業においては、従業員の交通安全意識の向上が求められるため、企業内での安全運転講習の充実や、シートベルト着用を促す社内ルールの整備が重要となる。近年では、企業が主導して従業員に対し交通安全教育を実施するケースも増えており、社員が日常的にシートベルトを着用する習慣を形成することが、安全対策としての有効な手段となるだろう。

また、運輸業界においては、ドライバーの安全対策が業務の継続性に直結するため、社内での研修制度の強化や、車両に対する安全装備の導入が求められる。特に、後部座席のシートベルト着用率の低さが明らかになったことを受け、バスやタクシー業界などでも乗客に対してシートベルト着用を促すための取り組みを強化する必要がある。例えば、音声アナウンスやステッカーを活用して乗客にシートベルト着用を呼びかけることが考えられる。

このように、今回の調査結果は、企業の安全管理や従業員の安全教育の観点からも重要な示唆を与えるものであり、各企業が適切な対応を取ることが求められる。特に、後部座席のシートベルト着用率向上に向けた社内での啓発活動や、ルールの徹底が今後の課題となるだろう。警察庁やJAFによるさらなる啓発活動と合わせ、企業側でも従業員の安全意識を高めるための取り組みを推進することが求められる。

⇒ 詳しくは警察庁のWEBサイトへ