2024年6月7日
労務・人事ニュース
従業員育成で66%の企業が効果を実感!技術水準向上74.2%と品質改善39.2%の実績
記者発表『「ものづくり産業の人材育成・処遇とデジタル化に関する調査」』(2024年5月29日)(JILPT)
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)は、国内のものづくり産業における従業員の育成・能力開発とデジタル化に関する調査結果を発表しました。この調査は、企業の技術水準や品質の向上、生産効率の改善など、従業員の育成・能力開発がもたらす経営面および人事面での効果を分析するために行われました。
調査によると、企業の66.0%が従業員の育成・能力開発による経営面での効果を実感しており、そのうち74.2%が「技術水準や品質の向上」を感じています。また、61.1%の企業が人事面での効果を実感し、そのうち83.3%が「従業員の能力・スキルの底上げ」を実感しています。
この調査は、全国の製造業に分類される従業員数30人以上の企業を対象に、2023年11月30日から12月15日にかけて行われました。3,366社から有効な回答が得られ、その結果、企業の多くが従業員の育成や能力開発に積極的に取り組んでいることが明らかになりました。
調査の中で、企業が従業員の能力・スキルをどう処遇に反映させているかについても尋ねられました。正社員に対しては、「昇給(基本給の引き上げ)」が54.5%、「賞与への反映」が51.8%と、5割を超える企業が対応していることがわかりました。また、非正社員についても、「昇給(基本給の引き上げ)」が27.5%、「賞与への反映」が19.7%となっています。
さらに、デジタル技術の活用状況についても調査が行われ、企業の83.7%が何らかのデジタル技術を活用していることが判明しました。特に、「CAD/CAM」(67.8%)や「生産管理システム」(66.8%)の活用が多く見られました。また、大企業では「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」や「AI(人工知能)」の活用割合が高いことも明らかになりました。
デジタル技術の活用による効果としては、「作業負担の軽減や作業効率の改善」が58.5%で最も高く、続いて「品質の向上」(39.2%)、「在庫管理の効率化」(38.7%)が挙げられました。これらの結果から、デジタル技術の導入が生産性の向上に寄与していることが示されました。
さらに、デジタル技術の活用に向けた人材の確保・育成についても調査されました。50.8%の企業が「自社の既存の人材に対してデジタル技術に関連した研修・教育訓練を行う」と回答しており、新卒や中途採用による専門人材の確保も進められています。
この調査結果は、ものづくり産業におけるデジタル化の進展と、それに伴う人材育成・能力開発の重要性を示しています。企業が効果を実感している経営面および人事面での成果を通じて、従業員の処遇改善や賃上げ、さらには労働生産性の向上が期待されます。