2024年9月3日
労務・人事ニュース
徳島労働局の紛争解決制度で明らかに!労働条件に関する相談が18.8%占める
令和5年度徳島労働局個別労働紛争解決制度の施行状況(徳島労働局)
令和5年度の徳島労働局による個別労働紛争解決制度の施行状況が公表されました。この制度は、労働者と事業主との間で生じる労働条件や職場環境に関するトラブルを迅速かつ適切に解決することを目的としています。徳島労働局は、この制度に基づき、労働相談や助言・指導、あっせんの運用状況を取りまとめました。
総合労働相談コーナーには、労働者からのさまざまな相談が寄せられており、令和5年度の総合労働相談件数は5,296件でした。これは前年度に比べて2.8%減少しています。しかし、個別の労働関係紛争に関する相談件数は増加しており、特に「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」に関する相談が前年より55.6%増加しました。また、助言・指導の申出件数は82件で、前年度比10.8%の増加が見られ、あっせんの申請件数も4件で、前年から倍増しています。
労働局が受ける相談内容で最も多いのは「その他の労働条件」に関するもので、全体の18.8%を占める459件に達しました。この「その他の労働条件」には、賃金や労働時間、勤務シフト、休日、休暇、福利厚生など、労働者の職場における待遇に関する幅広い項目が含まれます。次いで多かったのは「解雇・雇い止め」に関する相談で450件、これは全体の18.4%に相当します。また、「自己都合退職」に関する相談が340件(13.9%)、「いじめ・嫌がらせ」に関するものが226件(9.3%)という結果が出ています。
助言・指導の申出内容としても、「その他の労働条件」に関するものが最も多く、28件で全体の34%を占めました。次いで「普通解雇」や「雇い止め」に関するものがそれぞれ9件(10.9%)ありました。「いじめ・嫌がらせ」に関する申出も8件(9.7%)あり、職場でのハラスメントに対する関心の高さが伺えます。
あっせん申請については、前年度に比べて件数が倍増したものの、依然として全体の件数は少なく、近年の減少傾向が続いています。令和5年度には「雇い止め」に関するあっせん申請が2件、「普通解雇」と「いじめ・嫌がらせ」に関するものがそれぞれ1件ずつでした。
これらのデータからも、労働者の職場環境や待遇に対する関心が非常に高いことがわかります。特に、労働条件の変更や解雇、ハラスメントに関する相談が増加していることは、企業の採用や人事担当者にとって重要な情報となるでしょう。企業としては、労働者とのトラブルを未然に防ぐために、これらの問題に対する迅速かつ適切な対応が求められます。
労働局は今後も、総合労働相談コーナーを通じて労働者からの相談に適切に対応し、助言・指導やあっせんの運用を的確に行うことで、個別労働関係紛争の未然防止と迅速な解決に向けた取り組みを強化していく予定です。また、職場におけるハラスメント対策にも引き続き力を入れていくことが期待されています。
企業の採用担当者や人事部門は、これらの状況を理解し、労働者との円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。労働条件や待遇に関する問題が発生しないよう、事前に防止策を講じることが、労働者の満足度向上と企業の信頼性を高めるための鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは徳島労働局のWEBサイトへ