2024年8月15日
労務・人事ニュース
徳島県の有効求人倍率が1.15倍に低下、地域別に見る求人動向の違い
職業安定業務統計速報(令和6年6月分)について(徳島労働局)
徳島県内の雇用市場の現状について、詳細な分析が行われています。令和6年6月の職業安定業務統計速報によれば、徳島県全体の有効求人倍率は1.15倍で、前月からわずかに0.01ポイント減少しました。この有効求人倍率は、全国平均(1.23倍)や四国地方の平均(1.26倍)と比較して若干低い水準にあります。具体的な職業別に見ると、保安職業従事者の有効求人倍率が6.04倍と非常に高い一方で、管理的職業従事者と事務従事者の倍率は0.50倍にとどまっており、職種によって求人の状況が大きく異なることが分かります。
新規求人の動きについても詳細に報告されています。令和6年6月の新規求人数は前年同月比で6.7%減少し、5,036人となりました。この減少は、医療・福祉分野で12.7%、サービス業で16.3%、そして学術研究や専門技術サービス業で37.7%といった分野で特に顕著でした。一方で、卸売業・小売業では14.5%、建設業で13.6%、製造業で11.9%の増加が見られ、これらの業界では引き続き人材の需要が高まっていることが伺えます。
求職者側の動きとしては、新規求職者数は前年同月比で10.9%減少しており、2,233人となりました。特にパート求職者数は11.4%減少しており、厳しい状況が続いています。さらに、求職理由別に見ると、事業主都合による離職者が6.5%、自己都合による離職者が12.6%、無業者は22.8%減少しており、全体的に新規求職者数の減少傾向が確認されています。
一方、就職件数については前年同月比で14.6%減少し、828件となりました。これに伴い、就職率も前年同月比1.5ポイント減少し、37.1%にとどまっています。特に、徳島県内での就職率は36.7%と全国平均を下回っており、地域ごとの雇用状況の差が浮き彫りになっています。
雇用保険に関するデータも注目すべきポイントです。雇用保険被保険者数は前年同月比で0.15%減少し、200,160人となっています。また、資格取得者数は前年同月比で3.13%増加した一方、資格喪失者数は5.09%減少しています。受給資格決定件数も前年同月比で18.52%減少しており、全体的な雇用保険の動きにも変化が見られます。
地域別の有効求人倍率を見ていくと、県央地域では1.11倍、県西地域では0.84倍、県南地域では0.97倍と地域差が顕著です。特に県西地域の求人倍率が低いことが示されており、地域によって求職者が直面する環境が異なることがわかります。また、新規求人倍率は2.27倍と高く、新規求人の動きは活発であることが確認されますが、求職者数の減少と相まって、求人と求職のミスマッチが課題となる可能性があります。
徳島県の雇用市場は、全体的に安定しているものの、職種や地域によっては求人と求職者の需要にズレが生じていることが分かります。特に専門技術職や建設業、製造業などの分野では引き続き人材の需要が高い一方、事務職や管理職、特定のサービス業では求人数が減少傾向にあります。さらに、雇用保険のデータからも、資格取得者数の増加や資格喪失者数の減少といった動向が確認されており、雇用の流動性が高まっている可能性が示唆されます。
これらのデータを総合すると、徳島県の雇用市場は全体として求人が求職を上回って推移しているものの、求人が緩やかに減少している状況にあります。特に、足元の経済情勢や今後の雇用に与える影響を注視する必要があり、引き続き、求人・求職のニーズに応じた的確な職業紹介や個別支援が重要となるでしょう。企業としては、求職者のニーズに応じた求人条件の見直しや内容の充実を図り、適切な人材を確保するための戦略が求められます。
⇒ 詳しくは徳島労働局のWEBサイトへ