2024年10月30日
労務・人事ニュース
徳島県特定業種の最低賃金が5.6%アップ!1,038円の新賃金で企業の採用活動にどのような影響が?
徳島県特定最低賃金の改正決定について ー 徳島地方最低賃金審議会が答申 ー(徳島労働局)
徳島県では、特定最低賃金の改正が決定され、これに関する報道が行われました。徳島地方最低賃金審議会は、8月21日に徳島労働局長から諮問を受け、慎重に審議を行った結果、特定の業種における最低賃金の改定案を取りまとめました。この改定は、特に機械器具製造業や電子部品関連業種に影響を与えるものです。具体的には、はん用機械器具や生産用機械器具、電子部品・デバイス製造業を対象とした最低賃金が改定され、10月16日と17日にそれぞれの結論が出されました。
まず、はん用機械器具や生産用機械器具、業務用機械器具製造業における最低賃金は、現行の1,020円から50円引き上げられ、1,070円となることが決定しました。引き上げ率は約4.90%であり、この業界で働く労働者の給与改善が期待されています。同様に、電子部品やデバイス、電気機械器具、情報通信機械器具製造業における最低賃金も、現行の983円から55円引き上げられ、1,038円に改定されます。この引き上げは5.60%に達し、こちらの業界でも給与水準の向上が図られる見込みです。
これらの改定は、徳島県内の特定の製造業に従事する労働者とその使用者に対して適用されますが、例外も設けられています。18歳未満や65歳以上の労働者、または雇用後6ヶ月未満の技能習得中の労働者は適用除外となります。さらに、清掃や片付けなどの軽易な業務や、特定の作業内容に従事する労働者も対象外とされています。
今回の最低賃金改定の背景には、全国的な賃金引き上げの動向があり、特に地方の産業においても競争力を維持するためには、労働者の待遇改善が重要視されています。徳島県では、これまでも最低賃金の段階的な引き上げが進められてきましたが、今回の改定はより大幅な引き上げとなり、労働者の生活向上に寄与することが期待されています。労働者にとっては、日々の生活費や物価の上昇に対応するための収入増加が必要不可欠であり、この改定がそれを支援する形となります。
最低賃金改定は、地域の経済活動にも大きな影響を与える可能性があります。特に、製造業が盛んな徳島県では、この改定が労働者のモチベーション向上や定着率の向上に寄与することが期待されます。一方で、使用者にとっては人件費の増加が課題となり得ますが、適切な賃金水準の確保は長期的には労働力の確保や生産性の向上につながるとされています。経営者は、これを契機に業務効率化や生産性向上策を模索する必要があるでしょう。
最低賃金の改定手続きは今後も進められ、官報公示が11月に予定されています。公示後、12月21日から新たな最低賃金が正式に施行されることとなります。それまでの間、異議申し立て期間が設けられていますが、審議会の答申をもとにした改定案が大きく変更されることはないと見られています。
今回の改定がもたらす影響は多岐にわたり、特に製造業においては賃金引き上げに伴うコスト増加が避けられない一方で、労働者の定着や地域経済の活性化に向けた重要な一歩とも言えるでしょう。徳島県は、引き続き地域の経済成長を支えるために、労働環境の改善や労働者の待遇向上に注力していく方針です。
企業の採用担当者にとって、今回の賃金改定は労働力の確保や育成における新たな課題と機会をもたらすものです。適切な賃金水準の確保は、優秀な人材を引き付け、長期的な定着を促進するための重要な要素となります。特に、今回のような賃金引き上げの波が全国的に広がる中で、競争力を維持しつつ人材を確保するためには、給与水準の見直しや福利厚生の充実、働きやすい環境の整備が求められます。企業はこれを機に、労働者に対する総合的なサポートを強化し、持続可能な成長を目指すことが求められています。
⇒ 詳しくは徳島労働局のWEBサイトへ