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2025年3月12日

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情報通信業の平均月間実労働時間は157.3時間!前年比変動なしで安定した労働環境を維持(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)情報通信業

令和6年の毎月勤労統計調査によると、情報通信業の平均月間実労働時間は157.3時間で、前年と同じ水準を維持している。この安定した労働時間の背景には、業務のデジタル化やリモートワークの普及が影響していると考えられる。特に、情報通信業はテクノロジーを活用した業務の効率化が進んでおり、一定の労働時間を維持しつつ、生産性の向上が図られている点が特徴的である。

内訳を詳しく見ると、所定内労働時間は141.5時間で、前年比0.1時間の減少となった。この微減は、情報通信業界においても働き方改革の影響が出始めていることを示唆している。特に、IT企業やメディア関連の企業では、フレックスタイム制の導入が進んでおり、従業員が柔軟に働くことができる環境が整えられている。さらに、リモートワークが常態化している企業では、通勤時間の削減に伴い、所定内労働時間が最適化される傾向が見られる。

一方、所定外労働時間(残業時間)は15.8時間で、前年比1時間の増加が見られた。この増加は、プロジェクトの納期管理や緊急対応業務が影響している可能性がある。特に、システム開発やインフラ運用を担当する企業では、突発的なトラブル対応や深夜作業が発生しやすく、結果として残業時間が増加する傾向がある。また、AI技術の発展やクラウドサービスの普及に伴い、ITエンジニアの業務負担が増加していることも、残業時間の増加に影響を与えていると考えられる。

月間出勤日数については、18.6日で前年と変動はなかった。このデータから、情報通信業では出勤日数の安定性が維持されていることが分かる。特に、リモートワークが普及する中でも、必要に応じてオフィスへの出勤が求められる企業が多く、完全な在宅勤務制度への移行が進んでいないことがうかがえる。一方で、一部の企業では週休3日制の導入を試験的に行う動きもあり、今後の働き方の多様化が進むことで、出勤日数の推移にも変化が見られる可能性がある。

企業の採用担当者にとって、このデータが示すポイントは、労働時間の安定性と柔軟な働き方の両立が求められるという点にある。情報通信業は、高い生産性を維持しながらも、労働時間の最適化が進んでいる業界の一つであり、企業ごとの取り組みが重要となる。そのため、ITツールを活用した業務の効率化や、リモートワーク環境の整備が、従業員の満足度向上と生産性向上の鍵を握る。

また、今後の課題として、労働時間の最適化とプロジェクト管理の効率化が求められる。情報通信業は、プロジェクトベースの業務が多いため、繁忙期と閑散期の労働時間の差が大きい特徴がある。そのため、企業は適切なリソース管理を行い、従業員の業務負担を平準化することが求められる。特に、AIや自動化技術の導入による業務負担軽減が、今後の重要な課題となる。

今後の展望として、情報通信業はデジタル化の進展とともに、さらなる働き方の変革が進むことが予想される。特に、ハイブリッドワークの定着や、リモートワークの高度化が進むことで、労働時間の最適化がより強化されると考えられる。企業は、こうした変化に対応しながら、従業員の生産性向上と働きやすい環境の整備を進めることが求められる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ