2025年2月11日
労務・人事ニュース
愛媛県の外国人労働者数14,550人で過去最高!企業の採用戦略が変わる時(令和6年10月末時点)
「愛媛県の外国人雇用状況」の届出状況(令和6年10月末時点)(愛媛労働局)
愛媛労働局が発表した最新の雇用状況によると、令和6年10月末時点で県内の外国人労働者数は14,550人に達し、前年同期比で2,074人(16.6%)増加した。これは、平成19年に外国人雇用の届出義務化が始まって以来の最高記録である。外国人を雇用する事業所の数も2,347か所となり、前年より216か所(10.1%)増加し、こちらも過去最高を更新した。
外国人労働者の国籍別では、ベトナムが最多で4,112人(全体の28.3%)を占め、次いでフィリピンが3,730人(25.6%)、インドネシアが1,750人(12.0%)と続いた。特にスリランカは前年同期比71.2%増と大幅な伸びを見せ、ミャンマー(57.7%増)、インドネシア(39.4%増)、ネパール(37.5%増)といった国々からの労働者も急増している。
在留資格別に見ると、「技能実習」が最も多く7,553人(51.9%)を占め、「専門的・技術的分野の在留資格」が4,770人(32.8%)で続いている。平成31年4月に創設された「特定技能」の在留資格を持つ外国人労働者は3,140人に達し、前年同期比で36.6%増加している。これにより、特定技能を活用した雇用の拡大が進んでいることがわかる。
地域別では、今治地域の外国人労働者数が4,492人で最多となり、県全体の30.9%を占める。次いで松山地域が4,219人(29.0%)と続く。一方で、事業所数では松山地域が854か所(36.4%)で最も多く、次いで今治地域が635か所(27.1%)となった。
産業別にみると、外国人労働者が最も多く従事しているのは製造業であり、全体の55.3%にあたる8,040人がこの分野で働いている。次いで「医療・福祉」(11.6%)、「建設業」(8.9%)が続く。特に「宿泊業・飲食サービス業」は前年同期比で63.9%増と大きく伸びており、コロナ禍の影響からの回復が進んでいることがうかがえる。
また、労働者派遣・請負事業を行っている事業所で働く外国人労働者の数は1,927人となり、全体の13.2%を占めている。派遣や請負での雇用が増加している背景には、企業側の柔軟な労働力確保のニーズがあると考えられる。
企業規模別では、「30人未満」の小規模事業所が全体の64.0%を占めており、外国人労働者の受け入れが中小企業を中心に進んでいることがわかる。これは特に、地方の中小企業が労働力不足を補うために外国人労働者を積極的に採用していることを示している。
このような外国人労働者の増加は、企業の採用戦略にも影響を及ぼしている。特に「特定技能」や「専門的・技術的分野の在留資格」を持つ外国人の増加は、単純労働ではなく、より高度な専門技術を持つ人材の確保が進んでいることを意味する。これに対応するため、企業は外国人労働者向けの研修制度の充実や、長期的なキャリア形成を支援する施策を強化することが求められる。
一方で、外国人労働者の増加に伴い、地域社会における受け入れ態勢の整備も急務となっている。言語や文化の違いによるトラブルを防ぐため、多言語対応の相談窓口の設置や、地域住民との交流促進の取り組みが進められている。企業側も、労働者の生活環境を整えることで定着率を高める努力が求められる。
今後、愛媛県内で外国人労働者の雇用がさらに拡大していく中で、企業の採用戦略は大きく変化することが予想される。特に、製造業や医療・福祉、建設業などの分野では、より多様な人材を受け入れる体制を整え、長期的な雇用の安定化を図ることが重要となる。外国人労働者の増加は、地域経済の活性化にもつながるため、今後の動向に注目が集まる。
⇒ 詳しくは愛媛労働局のWEBサイトへ