2025年2月20日
労務・人事ニュース
愛媛県の新卒就職市場が変化!短大生の内定率13.6ポイント上昇、高専卒は県外流出傾向(令和6年12月時点)
新規学校卒業予定者の職業紹介状況(令和6年12月末現在)(愛媛労働局)
愛媛労働局が発表した令和7年3月新規学校卒業予定者の職業紹介状況によると、各教育機関ごとの就職内定率に明確な違いが見られた。今年度の特徴として、短期大学の就職内定率が前年より大幅に向上したことが挙げられる。一方で、高専卒業予定者の県内企業への就職内定率は大幅に低下した。全体的に就職市場は堅調に推移しているものの、分野や地域による格差が依然として残る。
まず、高校卒業予定者に関しては、就職内定者は1,537人で、就職内定率は88.9%と前年より1.2ポイント上昇した。しかし、県内企業への就職内定率は75.0%で、前年より0.1ポイント下回った。高校卒業者の県内就職率の変動は小さいものの、引き続き安定した雇用環境が提供されていることがわかる。
高専卒業予定者においては、就職内定者数は233人で、就職内定率は97.1%と高い水準を維持しているものの、前年より0.5ポイント低下した。特に、県内企業への就職内定率が12.0%と、前年より10.1ポイントも低下した点が注目される。これは、高専卒業生が県外企業への就職を選択する傾向が強まっていることを示唆している。
短期大学卒業予定者の就職内定率は67.8%となり、前年より13.6ポイントも上昇した。この大幅な上昇は、企業側の採用意欲の高まりと、短大生の職業選択の幅が広がったことが影響している可能性がある。県内企業への就職内定率も78.9%と、前年より1.4ポイント上昇し、地域内の雇用の受け皿が強化されていることがわかる。
大学卒業予定者に関しては、就職内定者数は2,589人で、就職内定率は83.1%と、前年より4.3ポイント上昇した。大学生の就職市場は引き続き好調であり、多くの企業が新卒採用を積極的に行っている状況が伺える。しかし、県内企業への就職内定率は42.4%と、前年より0.2ポイント低下しており、県内にとどまる就職者の割合は依然として低い。
求職倍率の推移を見てみると、高校生の全体求人倍率は30.07倍と、前年より3.31ポイント上昇し、県内求人倍率も3.61倍と0.07ポイント上昇した。これは、高校卒業者を求める企業が依然として多いことを示している。一方で、大学生の全体求人倍率は22.17倍と、前年より11.03ポイントも上昇し、県内求人倍率も5.05倍と3.44ポイント上昇した。大学卒業者向けの求人が増加していることから、特に大卒者に対する採用市場が拡大していることがうかがえる。
愛媛労働局は、新規学校卒業者のための就職支援策として、愛媛新卒応援ハローワークをはじめとする県内ハローワークにおける個別支援を強化している。未内定の生徒・学生に対して、就職支援ナビゲーターによる個別支援を行い、早期内定につなげる支援策を展開している。また、関係機関との連携を強化し、学校や就職支援機関と協力しながら、より効果的な支援体制を整備している。
さらに、新卒者や若年者向けの合同企業説明会も予定されており、令和7年3月12日に松山市総合コミュニティセンターで開催される予定である。参加企業の詳細については、決定次第、愛媛労働局の公式ウェブサイトで公表される見込みだ。この合同説明会は、新卒者が直接企業担当者と対話できる貴重な機会であり、県内企業の魅力を伝える場としても重要な役割を果たす。
総じて、愛媛県内の新卒者の就職環境は全体として好調であり、求人倍率も上昇傾向にある。しかし、高専卒業者の県内就職率の低下や、大学卒業者の県外流出傾向が続いている点には注意が必要だ。県内企業が優秀な人材を確保するためには、職場環境の魅力を強化し、待遇面での充実を図ることが求められる。愛媛労働局の就職支援策や合同企業説明会などを活用し、地域に根付いた雇用の創出を目指す取り組みが今後も重要になってくるだろう。
⇒ 詳しくは愛媛労働局のWEBサイトへ