2024年10月30日
労務・人事ニュース
愛知県 令和6年、最低賃金違反率14.5%!675事業場の監督指導結果を公開
最低賃金の履行確保に係る監督指導結果について(愛知労働局)
愛知労働局は、令和6年1月から3月にかけて、愛知県内の14の労働基準監督署において、最低賃金の履行を確保するための監督指導を実施しました。この取り組みは、最低賃金額に近い賃金を受け取っている労働者が多いと考えられる業種や事業場に対して行われました。その結果、675事業場が監督対象となり、98事業場で最低賃金法違反が確認され、違反率は14.5%に達しました。
最低賃金未満であった労働者の人数は261人であり、全体の2.5%にあたります。このうち、女性が72.4%(189人)を占めており、男性は27.6%(72人)でした。年齢別に見ると、65歳以上の労働者が全体の33.0%と最も多く、次いで20代の労働者が16.5%を占めています。また、最低賃金未満であった労働者のうち、非正規労働者が8割以上を占めていました。
違反の理由として最も多かったのは「適用される最低賃金額を知らなかった」(21.4%)で、次いで「賃金を時間額に換算して比較していなかった」(19.4%)という回答が多く見られました。また、「最低賃金の改定を知っていたが、賃金の改定をしていなかった」という事業場もあり、売上減やコスト増などの経済的な理由から、最低賃金の支払いが困難であった事例も報告されています。
最低賃金を守ることは法律で義務づけられており、違反した場合、罰金50万円以下が科される可能性があります。最低賃金は毎年見直され、2024年10月1日からは愛知県の最低賃金が50円引き上げられ、時間額1,077円に改正されています。この改正を受け、愛知労働局では引き続き周知徹底を図り、違反事業場には厳正な指導を行う方針です。
一方で、中小企業や小規模事業者に対しては、賃金引上げの環境整備を支援するための施策も実施されています。たとえば、業務改善助成金やキャリアアップ助成金といった助成金制度が設けられており、これらは生産性向上に資する設備投資や労働者の処遇改善を行った場合に、その費用の一部が助成されます。また、IT導入補助金も提供されており、賃金規定の改定や賃上げに取り組む事業者が、必要なIT設備を導入する際に助成を受けることが可能です。
さらに、最低賃金に関する情報提供や周知活動も強化されています。地方自治体の広報誌や、経営者団体、事業者組合などを通じた周知活動に加え、外国人労働者への情報提供も進められています。これにより、すべての労働者が適切な賃金を受け取ることを目指しています。
最低賃金法に関する認識の欠如や、賃金改定の遅れなどが違反の原因となることが多いため、事業者に対しては適切な情報提供とともに、法令遵守を促すための指導が行われています。監督指導を通じて、最低賃金の履行状況を改善し、労働者の権利が守られるよう努めています。
今回の監督指導において、業種別の違反率を見ると、製造業が18.8%と最も高く、次いで卸売業・小売業が14.1%、宿泊業・飲食サービス業が16.1%となっています。これらの業種では、特に非正規労働者が多く、最低賃金を下回る賃金が支払われているケースが目立ちました。違反が確認された事業場に対しては、速やかに改善指導が行われており、今後も継続的な監視が続けられる予定です。
最低賃金の遵守は、労働者の生活を守るための基本的なルールであり、事業者は法定の最低賃金を下回らないように賃金を設定する責任があります。また、最低賃金の改定に伴う賃金改定は迅速に行う必要があり、違反が発生しないように注意が求められます。違反が見つかった場合、行政による指導の対象となり、最悪の場合は罰則が科される可能性があるため、事業者は常に最新の情報を把握し、法令を遵守することが求められます。
今回の監督指導結果を踏まえ、愛知労働局では、さらに厳正な対応を行い、最低賃金の履行を確保する取り組みを強化していく方針です。事業者の皆様には、賃金改定や法令遵守の重要性を再認識し、適切な賃金支払いを行うことで、労働者の生活の安定に寄与するよう求められています。
⇒ 詳しくは愛知労働局のWEBサイトへ