2024年11月13日
労務・人事ニュース
愛知県 2024年新卒者の就職内定率75.1%、11年連続で高水準を維持する採用市場動向
令和7年3月新規高等学校卒業予定者の職業紹介等状況 令和6年9月末 現在(愛知労働局)
2024年3月に卒業予定の高等学校新卒者を対象とした採用選考が、2023年9月16日から開始され、9月末時点での就職状況が発表されました。全体として、就職内定率は75.1%と、前年同期より2.9ポイント上昇し、11年連続で70%を超える高水準を維持しています。この数値からも、高校新卒者に対する企業の採用意欲が高まっていることが窺えます。
産業別に見ると、製造業が全体の求人数の4割以上を占め、18,220人の求人があり、前年同期と比較して4.5%、789人増加しました。特に愛知県の基幹産業である自動車産業(輸送用機械器具製造業)では、求人が7,439人と前年より10.9%増加しており、733人増えています。このような増加傾向は、他の産業にも見られ、例えば卸売業・小売業では6.4%の増加、運輸業・郵便業でも6.7%増となっています。一方、医療・福祉分野では求人が2.1%減少し、宿泊業・飲食サービス業でも1.2%の減少が見られました。
就職希望者の状況を見てみると、9月末時点での就職希望者数は8,270人で、前年同期の8,832人から6.4%減少しています。これは、求人数が増加している中で、就職を希望する学生の数が減少しているため、企業側にとっては人材の確保が一層重要な課題となっています。この減少は、特に少子化の進行や学生の進学希望が増えていることが要因と考えられます。
さらに、就職内定者数は6,211人で、前年より2.7%減少していますが、それでも就職内定率は75.1%と高い水準を保っています。選考開始からわずか2週間余りで、このように高い内定率を記録するのは11年連続のことで、企業の新卒者に対する採用ニーズが引き続き強いことが反映されています。企業は早期に優秀な人材を確保するために、より積極的な採用活動を展開していることが考えられます。
企業規模別に見ると、1,000人以上の大企業の求人は5,489人で、前年同期から9.8%、489人増加しています。中規模企業でも同様に増加傾向が見られ、500~999人規模の企業では9.9%、251人増加しています。このように、大企業を中心に採用意欲が強く、中規模企業もそれに追随する形で求人を拡大しています。一方で、29人以下の小規模企業では求人が2.5%減少しており、特に小規模事業者にとっては人材の確保が難しくなっている現状が伺えます。
職業別では、製造・制作に従事する職業の求人が最も多く、18,663人となり、前年同期より3.9%増加しました。また、販売やサービス業の求人も増加しており、販売職では9.1%、サービス職では1.7%の減少と微減が見られるものの、他の職種に比べると安定しています。
こうした状況を踏まえ、愛知労働局や各地のハローワークでは、就職未内定者に対する支援を強化しています。2023年9月末時点で、2,059人の未内定者がいるため、個別相談や模擬面接などのサポートが提供されています。また、各高校の進路指導担当者や地域企業との連携を通じて、より多くの新卒者が無事に就職できるよう、就職支援ナビゲーターを活用したサポート体制が整えられています。
採用スケジュールとしては、2023年6月1日に求人申込書の受付が始まり、7月1日に求人票の提出および学校訪問が開始されました。9月5日からは応募書類の送付が行われ、9月16日から採用選考がスタートしています。来年3月の卒業後に、就業が始まる予定です。今後も、未内定者に対する支援活動が続けられ、企業と学生のマッチングが進むことが期待されています。
このような採用状況や市場の動向を踏まえ、企業は自社の魅力を十分に伝え、積極的に人材を確保することが重要です。特に、大企業のようにブランド力がある企業は、就職希望者にとって魅力的に映るため、採用活動においても有利な立場にあります。しかし、すべての企業が同様の条件を持つわけではないため、特に中小企業は、自社の強みを強調したり、働きやすい職場環境をアピールすることが求められます。また、現在の求人数の増加は、製造業や運輸業など特定の産業に集中しているため、他業界においてはさらなる工夫が必要かもしれません。
新卒採用は、企業の将来を左右する重要な取り組みです。企業は、長期的な視野に立ち、優秀な人材を確保し、育成するための取り組みを進めていくことが求められます。
⇒ 詳しくは愛知労働局のWEBサイトへ